Match Review 2021.5.15 柏レイソル vs FC東京

5連敗、という結果を受けた瞬間から思い出すのは、15年前の2006年のこと。
8月26日の清水エスパルス戦から10月15日のサンフレッチェ広島戦までの8連敗のことです。

当時既に千葉県に住まいを移していましたので、9月30日味スタでのアルビレックス戦に敗れ6連敗となった試合後の帰路の腹立たしさに任せて、帰宅した瞬間に持っていた荷物を廊下の壁に打ちつけました。

その時妻に「負けて悔しいのは分かるけど、選手の方がもっと悔しいんだから、あんたが怒ったってどうにもならないわよ!」と怒られたのを今でも覚えています。

以来、応援しているチームが連敗しても、良い部分を探してそこをチームが気づいてくれることを信じていこう、そんなふうに考え方を変えました。
その結果が多くの方に目を通して頂いた”FC東京の窮状を考えてみる”と”FC東京の窮状を考えてみる2~補強策の成否について”であったりします。

応援している、愛しているチームの連敗というのはファン・サポーターにとっては辛いものです。
しかし、そこを自分なりに理屈を持って納得し、信じることで突破してくれた時の喜びは一入と言えます。

15年前の闇を抜けた時は、77分から84分でガンバ大阪から3点を奪った3-2の勝利だったことを考えると、FC東京というチームは派手に突破口を見出すチームだな、などと独りごちながらベランダで飲んだスーパードライと赤ワインは至極の味でした。

上記を見ていただくと、橋本の数値を上回る結果を青木が出していることが分かります。
「いやいや、そう言っても橋本は海外の厳しい環境でやってるでしょ」というご意見もあるかと思いますが、橋本自身がロシアに行ってから各スタッツが大きく下がっていることはなく、むしろキャリア全体の数値を採用しているので、割合の少ないロシアの数値は全体に比して誤差程度です。

このダイアグラムから読み取れるのは、橋本と青木の数値は非常に似通っており、シルバは彼ら二人に比べると守備的MFに必須なデュエル能力で彼ら二人の後塵を拝すということが分かります。

では守備的なスタッツを比較するとどうでしょうか。

 

札幌戦のレビューを書かないとな、と思っているうちに時間は過ぎていき、業務やコーチ業で疲弊してあっという間にフロンターレ戦当日を迎えました。
と同時に札幌戦のレビューは放棄する、という安易な選択肢を選んだわけですが、「別にレビュー書いて給料もらっているわけでもなし。」と思っているわけではなく、単に1日が48時間あったらいいよね、ぐらいに思っているワーカホリックです。

さて、あらゆるところで触れられていることですので今更言及する必要もないのですが、FC東京が勝てなかった理由はその過程が全てであり、川崎の勝因はその誤ったFC東京の過程を見逃すことなく楽に自分達のペースを維持できたことでしょう。
そのくらいFC東京のプロセスは酷かったです。
「結果良ければプロセスが悪くてもOK」であったのはシーズン序盤によく言われる言葉ですが、シーズン中盤に突入するこの時期にあのプロセスでは先が思いやられる、というのが正直な感想です。
一方で自分を宥めているのはその「シーズン序盤」という言葉です。
まだ9節。今シーズンは残り29試合あるわけです。
4分の1が終わったこのタイミングを序盤とするのか中盤とするのか、これによって見え方は大きく変わってくると思います。

柏 - スターティングメンバー選出に失敗

後半20分の間にFC東京はよく失点をしなかった、と言えるほどに柏レイソルの重圧は非常に厚いものでした。
逆を言えば、後半のプレーを本来は試合開始後から展開したかったのかと思いますが、公式戦4試合でうまく結果が出ていなかった上に、その内の3試合が横浜FC、ベガルタ仙台、アヴィスパ福岡とレイソルから見れば「格下」とも言えるチームに対してクリーンシートを喫しているということが焦りにも繋がったスタメンだったように思います。

上記の試合を振り返ってみても、ポゼッションでは相手を圧倒しながらも決め手にかけて結果に繋がらなかった、という事から考えると新加入選手を一気に使ってチームバランスを崩すリスクをこの試合で取る必要があるのだろうか、というのがスターティングメンバーを見た時に感じました。

具体的にはエメルソン・サントス、ドッジ、アンジェロッティという3選手が加入後初先発しました。

エメルソン、ドッジは非常に良いパフォーマンスを局面局面で見せていましたが、殊更エメルソンについてはここで先発させるというのは総体的難易度をあげてしまったのではないかな、と振り返ると思います。
特にレイソルが志向している3-4-3のフォーメーションは、全体をコンパクトにして攻守の切り替えを早くするサッカーを目指したものになります。
すなはち、DFラインの上下動は3人のDFが細かくコミュニケーションを取るだけでなく、時には阿吽の呼吸で「ここは下がるべきだな」「ここはあげておこう」というバランスを保つ必要がある戦術とも言えます。

個の対応で強さを所々見せていたエメルソンではありますが、このラインコントロールの部分で他選手との呼吸が合っていたとは言えず、DFラインがバタバタとしているうちにFC東京のDFライン裏を狙う動きで失点を重ねてしまいました。
3失点してからは、GKのキムがDFラインの裏をケアする動きが多くなり、なんとか全体的なバランスを保ちましたが、このキムの動きがなければあと2点ぐらいは失っていたかと思います。

思うに、レイソルの場合はここ数試合の状況がそんなに悪いわけでもないにも関わらず、結果が出ていないことに囚われてチームの背骨となるセンターバックからトップまでを全て変えてしまったことが敗因のように思えます。
後半20分間見せたように、圧倒的なポゼッションとスペースを突く動きはできているので、まずはDFラインは日本人選手で構成しながら、ドッジの運動量を活かしていくと、そして江坂を始めとする中盤より前の選手とアンジェロッティティのタイミングを合わせていけば上手くハマる日が早晩に来るように思います。
エメルソン・サントスが良い選手なのはこの試合のディエゴ・オリベイラへの対応やデュエルでよく分かりましたので、焦らず少しずつ新戦力をフィットさせながら勝ち点を積み上げることを目指した方が良いように思います。

FC東京もそうですが、昨シーズンのカップ戦決勝を共に戦ったチーム、双方共に年明けまで戦った疲労をようやく乗り越え、新戦力のマッチに入れるフェーズだけに、焦らなければ結果はついてくるように思います。

東京 - 外からの目がもたらした勝利

FC東京を救った選手の筆頭は間違いなく高萩でしょう。
ハイプレスで襲い掛かるレイソルのプレッシャーをいなすように、ワンタッチでシンプルにボールを動かしながら、効果的にピッチの幅を取る動きを繰り返し、レイソルDFラインの裏を狙うパスを繰り出すなどここ数試合で見られない「繋ぎを担う」動きをFC東京のピッチ内で展開してくれました。

スタッツだけを眺めると特段良い数値ではないのですが、このスタッツに表れないピッチを動き回る姿勢というのがこれまでの東京に不足していたものを与えてくれたと言えます。

 

高萩Heat Map

FC東京を救った選手の筆頭は間違いなく高萩でしょう。
ハイプレスで襲い掛かるレイソルのプレッシャーをいなすように、ワンタッチでシンプルにボールを動かしながら、効果的にピッチの幅を取る動きを繰り返し、レイソルDFラインの裏を狙うパスを繰り出すなどここ数試合で見られない「繋ぎを担う」動きをFC東京のピッチ内で展開してくれました。

スタッツだけを眺めると特段良い数値ではないのですが、このスタッツに表れないピッチを動き回る姿勢というのがこれまでの東京に不足していたものを与えてくれたと言えます。

図=ヒートマップ

本人も試合後のインタビューで語っている通り、

“勝つことができていない中でリーグ戦の出場機会が少なかったので外から客観的にチームの試合を見ていた”

という外からチームが苦しい状況を見て、自分ならどう動くのか、ということを考えそれを実践できるというベテランらしい動きがこの試合の好結果に結びついたと言えます。

その上にこれまでに指摘されていたDFラインが下がる、という課題に関しても意識を高く持ち、常にDFの選手に声をかけていました。

後半反則でレイソルにFKを与えたシーンでも、

「おい!下がるな。さがるなよ!」

とDFの選手にかけた声がマイクに拾われていましたし、試合の最中でも首を振ってはDFに対して、前に前に、と手で示すシーンが何度も見られました。

外からサッカーを見たベテラン選手が窮状にあるチームを救う、というのはよく聞くストーリーでもありますが、代表、海外チームなどで経験を積んだベテランがこのタイミングで目に見えない形でチームを救ってくれたことは非常に価値が高いと思います。

この高萩の姿を受けて他の選手がどう振る舞うのか。

ピッチにいた選手は刺激を受けた部分も多いのではないか、と思います。

フィットし始めた中盤の底

前回投稿で橋本の後継としての青木獲得は間違いでない、ということを述べました。

この試合でも青木はその力量を見事に示していたと思います。

Wyscoutのスタッツ的にはチーム全体で150/269(勝率55.76%)のデュエルの内、約15%に及ぶ23回のデュエルで15回の勝率をあげています(ちなみに守備時のデュエルだけなら13回で77%の勝率)
チーム全体で言えば、高萩が38回(勝率34%)、安部28回(同50%)、アダイウトン24回(38%)に次ぐデュエル回数を考えると、その勝率の高さも出色です。

ボールリカバリーも森重(19)、渡辺(11)、小川(10)に次いで8と中盤の底としては十分な数字を示している事からも、目立たないところでしっかりと守備面で貢献してくれていることがわかります。
いよいよ東京の中盤の底を任せるに相応しい結果を出し始めています。
運動量豊富な安部とダブルボランチを組む形でのこの試合でしたが、相互に補い合うことで押されている時間帯もきっちりと守備面で安定をもたらしていました。

5連敗という闇の中にありましたが、あの惨敗であった鹿島でもデュエル勝率80%というパフォーマンスを出していた事からも、青木を中盤の底に固定する流れができたようです。

印象的に地味(失礼)な選手ではありますが、目立たずともきちんと結果を出す縁の下の力持ち、という意味でも貴重な選手がようやく本領発揮となったようです。

これから安定したパフォーマンスを出してくれることでしょう。

勝って兜の・・・

 

前半20分までの3得点で終わらずに4点目を取り、尚且つクリーンシートで終えられたというのは選手にとっても非常に自信になる勝利だったのではないかと思います。

ただ、気になるポイントがなかったわけではありません。

攻撃面では左サイド偏重になってしまっていたために、右サイドの田川、内田が守備的なプレーになってしまっていた点が非常に気になります。
全体的なバランスを取る、という意味では左偏重な分右は下がってバランスを取る、というのはわからないでもないですが、逆を言えば左を抑えられた時に右からどうやって崩していくのか、というアイディアが見られなかった点が今後の課題になるのではないかと思います。

終盤に中盤でボールを奪った内田がそのままゴール前に上がりシュートまで繋げたしシーンがありましたが、あのシーン自体は右サイドで崩したのではないため、この勝利を今後につなげる意味でも右からの攻撃の形成をどうするのかは注意していかなければならないポイントかと思います。

ちなみに追記するとすれば、22分に内田がパスをカットされた直後に自陣に向けて走り出す動きを見せた点も気になったポイントです。

3点を奪って優勢な状況ではありましたが、あの場面は内田がボールホルダーに対してプレッシャーをかけるべきだったと思います。

田川が内田に代わって右サイドバックのポジションに入っていた事からも、内田がプレッシャーをかけにいくというイメージを持たないと、右サイドだけが下がり気味になって相手の攻撃の起点にされてしまいます。

本職右サイドバックではないのでその点では仕方がないかな、という思いはあれども、攻撃的にプレッシャーを掛けにいけていた全体感の中では違和感のあった瞬間だったと思います。

全体的には柏ボールになるとDFからFWまでの3ラインが形成され、10人のピッチプレーヤーが一つの画面に収まるコンパクトさが見られたことは非常に良かったと思います。

一方でボールを奪われた瞬間は、まだまだ前線の選手がプレスを掛けに行く一方で、全体が下がり気味になってしまい全体が間延びしてしまうシーンが散見されました。

レイソルが試合を支配した20分間もそのような状況の繰り返しでしたので、奪われた瞬間にFWがプレスに入るのか、それとも1枚行かせてボールを追わせながら他は引くのか、など決め事をしていかないと上位チームと当たった時にそのポイントを容易に使われてしまうかと思います。

厳しい言い方をしてしまえば、レイソルの出来が良いとは言えなかった中でその弱点をついて早々に試合を決めたことは大きな評価ポイントですが、一方で戦術的には粗さが見られた試合でもありました。

この勝ちに甘んじることなく、更なる選手間コミュニケーションを重ねてチームとして上昇気流に乗ってもらえるように願っています。

FC東京の窮状を考えてみる2 ~補強策の成否について

前回投稿ポストFC東京の窮状を考えてみるがこんな大っぴらに宣伝もしてないBlogにも関わらず700を超えるページビューを頂きました。
そんな中、以下のようにTwitterにて@matsu さんよりご感想とご質問を頂きました。
@matsuさんのご了承を頂いた上で引用致します。

非常に多くの東京サポーターが感じている室屋、橋本の穴埋め、という問題について問われています。
他チームが良い補強をしている(ように見える)ということもあり、このようなご質問を頂いたと思いますが、このポイントを考察してみる貴重な機会になるとも思いましたので、僕なりにご回答というか、考えを述べさせて頂ければと思い予定外の第2弾投稿です。
※マリノスやフロンターレの補強戦略については長くなるので今回は省きます。

 

2020年夏を振り返る

まず、大前提として、日本代表までになった実力を持つ選手の穴埋めをすることは至難の業である、ということを我々も冷静に捉えないといけないと思います。
この手の大きな穴埋めを行うに当たっては、大きくは3つの対策があると思います。

  1. 相応の力量を持つであろう外国人選手を補強する
    • ただし、この場合は当該選手が日本やJリーグに馴染めるか、というリスクがある
  2. 相応の力量を持つ日本人選手を補強する
    • この場合は候補選手が他チームの主力であるため、簡単に交渉が進まない可能性が高い
  3.  いわゆる”下位互換”型の選手を獲得し、使いながらチーム力を相応のレベルまで上げていく
    • この場合、多くのケースでは即戦力新人補強が主体
      • 新人選手の獲得またはアカデミーからの昇格で賄う
    • ただ、サテライトリーグの終了やFC東京のJ3参加が終了してしまったことからも、若い選手をJ1の試合使いながら育てなければならないという難しさがある

この観点で考えると、橋本や室屋がJリーグシーズン途中での移籍であったことから考えると、上記1と2の補強というのは難しかったと思います。
またその背景には受け取る移籍金が相応でなかったことからも、適当な補強資金を投入することができなかったこともあり、補強を先送りして置かなければならなかった台所事情があったかと思います。
加えて予期しなかったコロナ禍であったことからも、取りうる策は3の一択であったと思います。

しかも先述の通りシーズン中であることからも現有戦力で賄うしかありません。
室屋の穴は、左サイドバックとして試合に出ていた中村穂高が主力となり、左の小川と共にサイドバックを構成しました。
そのバックアッパーとして中村拓海が左右を適宜担当する形式でなんとか事なきを得られたシーズンであったといえます。

橋本の穴が難しかったと言えます。
ここは後述をしますが、当時の戦力では若い品田や荒削りなシルバを使いながら育てるしかありませんでした。
ただし、この二人では勝負がかかったポイントで不安があったため、森重のアンカー起用という、ある意味で最終ラインの強度を下げるというリスクを取る奇策で乗り切りました。
この背景には森重の代役で起用したオマリが出色の出来を見せた、ということもありました。
こうしてみると、非常に幸運とも言える要素があったと今振り返ると思えます。

2021年本当に穴埋めはできていないのか

冒頭に頂いたコメントの中にもあったように、「橋本、室屋の穴埋めができていない」ということはネット上でも多く見られる意見です。
ではそう感じるのは何故でしょうか?
恐らくこう質問させていただくと、「チームのスカウティングが悪い」「他チームで控えにしかならない選手しか取れない強化部」などなどのご意見が出てくることと思います。

ここで冷静に考えてみようと思います。
補強した選手が退団した選手と相応の実力を持っている選手のようだ、ということが客観的に示されたとしたら、どんな風に思考が変わるでしょうか。
選手の評価というのは見ている我々ファンの印象で変わります。
では冷静に選手を評価する尺度があったら、さらにその印象も変わるのではないでしょうか。
そのために現在は多くのスカウティングツールがプロ向けに開発・提供されており、大半のプロチームはそれらを複数使用して選手を客観的に分析し、必要な補強策を検討しています。
プロが使うスカウトツールにどんなものがあるのか、は以下の記事を読んでいたくのが良いかと思います。

サッカー界もマッチングアプリの時代に? 名将ビエルサ率いるリーズが明かす移籍市場でのデジタル戦略とは (Number Web)

そこで今回は上記にも記載されているWyscoutのWriter Editionから選手の統計データを使って比較を行いました。

ちなみに、個人の趣味でやっている限りですので、係る費用も持ち出しです。
なので全てのサービスは契約できませんので、あくまでもWyscoutで限定して提供されるデータを使用している点はご了承ください(宝くじでも当たれば契約できるサービスは全て契約したい・・・)。

橋本の代わりは青木、が正しい

ではWyscoutのデータを使って橋本、青木、そして橋本退団後にアンカーポジションで起用されていたシルバを比較してみましょう。

とはいえ各選手のキャリアや出場試合レベルもまちまちのため、出来る限り均等に数値を比較できるように、プレーの正確性を示すプレーの成功率で比較をしましょう。

以下はプレーアクションを起こした結果の成功率を示すTotal Action、枠内シュート率、パス、ロングパス、クロス、ドリブルの成功率、デュエル及び空中戦の勝率、自陣でのボールロスト率、相手人内でのボール回収率といった一般的指標をレーダーチャートにしたものです。

Figure 1

上記を見ていただくと、橋本の数値を上回る結果を青木が出していることが分かります。
「いやいや、そう言っても橋本は海外の厳しい環境でやってるでしょ」というご意見もあるかと思いますが、橋本自身がロシアに行ってから各スタッツが大きく下がっていることはなく、むしろキャリア全体の数値を採用しているので、割合の少ないロシアの数値は全体に比して誤差程度です。

このダイアグラムから読み取れるのは、橋本と青木の数値は非常に似通っており、シルバは彼ら二人に比べると守備的MFに必須なデュエル能力で彼ら二人の後塵を拝すということが分かります。

では守備的なスタッツを比較するとどうでしょうか。

 

Figure 2

空中戦とボールロスト、リカバリーは先述の項目と同様ですが、ここでは守備時のデュエル勝率とスライディングタックル成功率を加えています。
ここでもやはり青木の出している結果は橋本と大きく変わりません。

Figure 3

最後にパスのスタッツ比較です。
橋本と青木で顕著に違うのは、ロングパスの成功率とペナルティエリアへのパス成功率です。

ここの選手が置かれている状況は様々ですが、抜けた穴を埋めるには同様の特性を持った選手を補強したい、と考えた時にはその選手同士の何らかのデータを比較し検討することが必要です。
ゲームのようにそれぞれの選手のスタミナやスピードが同じ基準で数値化されたものがない以上、パスなどの正確性から獲得を検討しているのは先に挙げた記事からもわかるかと思いますし、そのプロが使っているデータを利用して客観的に比較した結果がここまでのものです。

つまりは、選手個人の能力を推測するデータから判断すると、橋本の穴は青木で十分に埋められたことが分かります。

ただ難しいのは、データを取得するチーム=条件が全く異質なのでその変数を数値化できない限り正確な判断はできないでしょう。
けれども、それが出来たらどのチームも獲得移籍には失敗しません。
つまりは、その数値化できない変数があるからこそ、同様のスタッツを持ち、同様のプレーが期待できる選手が期待通りのプレーをできない、のはチーム戦術や起用法、チームに馴染めているか、などの要素によるものとも言えるでしょう。

言うなれば、この吉と出るか凶と出るか、が移籍の面白いところでもあります。

じゃあ室屋の穴はどうなのか

では全く同様の比較を、室屋、中村穂、中村拓でも行ってみました。
このケースではGeneral StatsとDefensive Statsのみを用いています。

Figure 4
Figure 5

どんな印象でしょうか。
僕個人は、サンプル数が少ない、という前提はありながらも、中村拓はよくやっているじゃないか、という印象を強く持ちました。
「拓海の守備は心許ない」という印象を多くの方がお持ちと思いますが、デュエルでは室屋と同等、守備面でのデュエルでは室屋を上回る数値であることからも、視覚で見る印象というのがどれだけデータと乖離があるのかがよくわかると思います。

ここでも青木の項目と同様に、数値化できない経験値やプレー環境というものはありながらも、穴埋めは十分にできるだけの能力を持った選手がいてくれることは分かるかと思います。

FC東京の補強策は的確

前項で見たように、データ(各々の選手の環境因子は勘案していないが)を比較してみると、橋本の穴は青木、室屋の穴は二人の中村でうめられている、つまりはFC東京の補強策は的確である、というのが僕の結論です。

ではなぜ彼らがいた時と同じような印象を持った試合が見られないのでしょうか?
ここが重要なポイントだと思います。
データに写らない部分から考えると以下のように思います。

    • 中村帆の怪我、中村拓の経験不足と体力面の問題
      • ハードな環境の連続に耐えうるフィジカルを有していない
    • 青木のコンディション?チームへの馴染み度合い?

 原因は外からでは分かりませんが、外野言えることは「我慢して使って馴染ませる」ということがシーズン開幕後から必要だったのではないか、ということです。
推測されるものは以下の通りです。

  • せっかく青木を補強したが「慣れていない」ということで森重アンカー策に拘泥してしまった。
    • 攻撃面では森重の展開力が活きる場面が多かったが、アジリティが不足する分を周囲がカバーせざるを得ず、DFラインにギャップが生じてしまうことがあった。
  • 結果全体がアンバランスになり、失点が重なったことでDFラインが下がり全体が間延びする結果に
  • 室屋の穴は中村帆の成長で埋まったとところに、不運にも彼の怪我となってしまった。
  • 中村拓を起用したものの、フロンターレ戦での失点に繋がるミスがあり、以来一番手としての選択肢から外れてしまった。
    • 若い選手を起用すれば、経験不足からミスはつきもの。確かにフロンターレ戦でのミスは反撃の狼煙を上げたチームに水を刺した格好になった。
  • 結果、本職ではない選手起用も含めて右サイドの守備が固定されずさらに不安定な状態に陥っている。

確かに、中村拓は幾つか決定的なミスを犯してしまったのは確かです。
でもミスをしない選手はいません。
データから見ても、室屋や穂高とは違う特徴を持っており、経験値の割には高いレートを出しています。
ミスをしたからといってメンバーから外してしまっては、選手が持っている良さを失って「ミスをしないためのプレー」に終始してしまい、結局成長のスピードを止めることになってしまうかもしれません。
チーム全体が上手く行っていれば、DFラインおよび中盤で中村拓を助けてあげよう、という機運も生まれやすいかもしれませんが、悪い状況ではそういった選手同士の「前向きな」フォローへの意識は低下するものです。

チーム全体を見れば、フロンターレ戦の敗戦までは良くはないものの、悪い流れではなかっただけに、同じメンバーでもう一度組み直せばよかったとというのが僕の思いです。
しかしながら「負けたからいじろう」と起用する選手を変えてしまったことで、「下手を打つと出してもらえない」という意識を選手に与えてしまった可能性も否定できません。

苦しい日程の中で、選手に疲労が出ることは考慮の上でしょう。
しかしながら若くフィジカル面もまだ十分ではないながらも、変えの効かない存在となってしまった中村拓をミスという結果で変えてしまった事からチーム全体のバランスが崩れたと思います。

せっかく良い選手、的確な補強を行ったとしても、一つの悪手で局面は大きく変わってしまい、それを挽回しようとするが故にさらに悪手を重ねる。
ビジネスでも良くある営業最悪の局面だったり、ボードゲームや将棋、果てはギャンブルまでこのようなことは起こり得ます。
選手の問題、というよりも前回も述べた通り、ベンチの問題が大きいと考えます。

どう仕切り直すのか

ここからどう立て直すのが良いのでしょうか。
現状ではウヴィニのコンディションが想像以上に良いこともあり、次節からは3-5-2でスタートする可能性が高いかもしれません。

しかし、チームとして(比較的)成熟度が高い(であろう)4-3-3で再び仕切り直すというのも一つの選択肢であると思います。
要は見失った時こそ基本に立ち返ろうよ、という事です。
今季のFC東京の基本は、あくまでも4-3-3で縦に速いサッカーをする、ということではなかったでしょうか。

基本に立ち返りながらも、ここまで見てきたように、アンカーに適任の青木、右サイドバックには中村拓を起用することで肚を決めて、今できる本来あるべき姿に向かってチーム全体で動くべきでしょう。

その上でインサイドハーフにはボールを動かせる三田と運動量でDFのカバーまで出来る安部を。
運動量とアジリティに優れる三田や阿部が中村拓を守備面で助けてあげることもできると思います。

前線はトップにディエゴ。
その近くでトップ下〜サイドまでを動くレアンドロか田川を置き、ウィングは個で局面を打開できる推進力アダイウトン。

永井は怪我の影響か少々鋭さを書いている感じもあるため、スーパーサブとして起用する方が良いでしょうし、東は一度外から試合を見せた方が良いと思います。
プレーを見ていると、どうも客観的に現在の問題を認識できていないように思えます。
元来サッカー観は鋭いものを持っていますし、それが故に気の利いたスペースを埋めたりというプレーができる選手です。

ここで「センターバックは質が高いのでとにかくゴール前に鍵をかけよう」と安易に3-5-2にして「負けないサッカー」を選択すると、ここまでやってきたことを全て否定することになりかねません。

開幕からここまでの中で、この5連敗で新たなチーム作りに失敗してしまっただけに、立て直しは少なくとも残っている土台を活かして、もう一度開幕からやり直すつもりで戦うべきだと思います。

FC東京の窮状を考えてみる

様々に指摘されている事項がなぜ修正できないの?

川崎戦のレビューを最後になかなかサイト更新をできない状況にいましたが、試合については全て観ています。
このリーグ5連敗もしっかりと自分の目で確認をしていますし、各種媒体でどのようにその敗戦が評されているのかも可能な限り目を通しています。

いつもは試合のレビューですが、今回はリーグ5連敗の背景にどんなことがあるのか、を自分なりに、4種とはいえどもコーチ陣を従え監督をしている身も踏まえて考えてみました。

今回の考察は「どうして各種媒体=外から見ている人間が一様に指摘しているポイントをチームが修正できないのか」という僕に内在する疑問に端を発っしたものです。
また、チームの選手起用などについて思う部分は除しています。
6連敗したら怒りに任せてぶちまけるかも・・・。
そんなことにならないように祈ってます。

縦長なチームバランス

各種媒体やファンの評価として言われている連敗の要因は「全体の陣形が縦に長い」ということです。
この点は僕自身も感じる部分です。
とはいえ、縦長になるとどんなデメリットがあるのか、について論じられたものを目にしたことがないので、自身の整理の意味も含めてまとめてみます。

縦に長い、というのは一般的にはDFからFWまでの距離が長いということです。
これによって、守備時にMFとDFが形成する4-4の2ラインでボールを絡め取ったとしてもトップまでの距離がないため、ボールホルダーはどうしてもボールの出しどころを探してしまうことになります。
その間に相手のカウンタープレスが開始され、苦し紛れなパスになり再び自陣でボールを奪われる結果となってしまい、どうしても相手陣内に押し込めない結果となります。
こういった問題はどんなカテゴリーのチームでも起こるものです。

ではこの解決はどうすべきかのでしょうか。
答えとしては非常にシンプルで、前線(FW)と守備陣(最終ライン)の距離を40m前後(いわゆるコンパクトな陣形)でプレー出来るようにトレーニングをすることです(ただでさえ長いのがさらに長くなるので、トレーニングメソッドについてはここでは言及しません)。

ただし、この場合いわゆる「ファストブレイク」と称されたカウンターを繰り出すには、前線の選手が走る距離がこれまでに以上に長くなり、相手DFが深いポジショニングを取っている場合は数的優位を築けないというリスクが立ちはだかりますが、長中距離のパスに比べると短距離のパスの方が成功率が高いことを考えれば、カウンターができない理由にはなりません。

縦長が修正できないのはなぜか

修正ポイントを指摘することは非常に簡単なのですが、実際にその修正を施すためには、意外と骨が折れるものです。
なぜならば縦長になってしまう理由には、それぞれの選手の意識が介在するからです。
では、その選手の意識を考えてみます。

守備面においては以下のような負の連鎖が起こっていると思います。

  • 守備が硬い、という印象のFC東京が失点を重ねているがために、守備陣は失点をしないこと、が第一義になっている
  • それが故にラインを上げることよりもしっかりとリトリートしてペナルティエリア前で最終ラインを形成することが最初の意識になる
  • 失点をしないことが優先されるだけに、ゴール前を強固にすることに意識が行っているため、相手サイドのボールに対してのチャレンジがサイドバックまたはサイドハーフでの対応となっており、DF陣全体がボールサイドにスライドして守備ができていない
  • 全体がスライドして守備をしていないため、いわゆる「ボールの逆サイドを捨てる守備」ができず、守備の横の幅も自ずと長くなってしまう
  • 守備幅も広がることで、ピッチ中央部からサイドにあるボール自体に意識が行ってしまい、センタリングに対するペナルティエリア内の相手選手マークが甘くなりズレて失点機会に繋がる
  • せっかくボールを奪ってもトップへのロングパスが通せずにセカンドボールも相手に吸収されてしまい、シュートまでに繋がらないので、ショートパスを繋ぐ意識が高くなり、さらにラインを押し上げられなくなる

守備陣が失点をしないように、しないように、と意識をすればするほどこのような負の連鎖が生じて全体のバランスが崩れることはよくみられます。
負けが込んでいるチームでは尚更です。

では、最前線であるFWや中盤の意識はどうなのでしょうか。

  • 「ファストブレイク」の要である最前線からのプレスは実践しなければならない
  • しかし、先述の通り守備陣のラインを上げる意識が希薄になっているがために、最前線がプレスをしてパスコースを限定しても相手中盤選手がフリーでボールを受けやすい状況となっている=いわゆるFWとMFでのプレスに連動性がなくなっている
  • 連動すべき中盤の選手も守備意識を持つメンバーと、FWのプレスに追従するメンバーとが存在してしまうため、どうしても中盤にスペースが出来てしまう。
  • そのため、相手選手が最前線のプレスを掻い潜るだけの余裕があるため、ポゼッションを求めないFC東京のサッカーとしては、さらにポゼッションが低下して苦しい状況に陥る

といったことが起こってしまいます。
つまりは、個々のポジションにおいて個々に割り当てられているタスクをしっかりとこなしてはいるものの、それぞれの意識差によって全体として連動できないという事態陥ります。
この事態によって、それぞれのポジションでは「余計なタスク」が増えることになります。

  • サイドバックの場合
    •  守備から攻撃までの長い距離を走り、攻守にサポートをすることがタスク
    • 非コンパクトが故に最前線までの距離が長くなれば、必然的に走る距離は長くなる
    • その長い距離をスプリントする、ということは体力的な消耗が激しくなる
    • その上後方からのロングパスが相手守備陣に引っかかると、前に出ては戻る、という動きが増えてしまう
  • FWの場合
    • も守備陣がボールを奪った瞬間に動き出しを行い、攻撃の起点を作ることがタスクになっている
    • ロングパスが届かなければ、距離的に一番近いFWの選手がプレスバックしに戻らなければならない
    • そのため、本来のポジションから離れることを強制され、ボールを奪えた時にパサーからすると「会いたい時にあなたはいない」状態に
  • 中盤の場合
    • 守→攻への展開と前への推進力 がタスク
    • 最前線と最後尾のギャップが広がると、そのギャップを埋める中盤の運動量も飛躍的に増加する
    • 間延びしているために自分達も適切なポジションを取れずセカンドボールを拾えないがために、ボールを奪うことに必定以上の体力を使ってしまう。
    • 守備に追われるために精神的にも守備面のタスクが占められてしまい、ボール奪取しても過度に攻撃への意識が働き無理なパスをトライしてしまう

こんな感じで各々のタスクに不要なタスクが付加されてしまい、本質的なタスクをこなすよりも目の前のタスクをこなすことに懸命になり過ぎてしまう、という状況に陥っているように捉えています。

現状では解決できないのでは?

と、ここまでみてきたように、メディアやファンが見ても明らかな縦長な状況についての解決策は何か、というと、それを修正するように選手の思考を解きほぐして、戦術トレーニングを積み重ねるしかありません。

ただ、それがこの5連敗の中で全く改善されない、むしろ酷くなっているということから考えると、「そういうトレーニングをしていない」というのが現実的な想像なんだと思います。
なぜできないのでしょうか?
恐らく、原因であるポイントを指摘し、トレーニングに落とし込めるコーチングスタッフの不足に行き着くかと思います。

なぜそういう考えに至るのか、というと、監督の特性というかキャラクターに起因する部分があると思います。
世界各国、色んなカテゴリーで監督という人はいますが、大別すると根元は以下の2パターンになるかと思います。

  • 自身で戦術に基づいたトレーニングを仕切り、選手の動きにも細かく注文をつけるタイプ
    • 過去のFC東京の監督で言えば大熊、城福、フィッカデンティ
  • 大まかに目指すサッカーとコンセプトを定義し、具体的なトレーニングはコーチングスタッフに(ある程度)任せるタイプ
    • 過去の監督では原、ガーロ、ポポヴィッチ(ポポヴィッチは両者の特性を持ち合わせているタイプかもしれませんが)

前者は選手とも直接的にコミュニケーションを取るタイプで、良いプレー、悪いプレーも選手に直接伝えるタイプです。
つまりは選手との距離感は割と近いタイプでしょう。

後者は選手との間に一定の距離を置いて、コーチングスタッフを通して自分の考えをを伝えてもらうタイプと言えます。

僕自身のイメージとしてですが、長谷川監督が後者のタイプと捉えると、必要になるのは選手と監督の間を取り持つコーチングスタッフだと思います。

カップ戦を勝った2020シーズンは安間、長澤コーチの両コーチがその役目を担っていたと思われます。
特にFC東京での経歴が長く、選手からの尊敬を集めていた長澤コーチは、練習後も選手と語り合う姿が見えたりと、選手に対してのアドバイザーとしての役目を担っていたように思います。
悪いプレーや失敗があればその原因を選手に説明し、居残りでトレーニングに付き合うなどのケアを行なうことで、選手個々の意識とプレーレベルをチームに必要なレベルに上げることに大きく貢献したと思います。

そういった、いわゆる「監督との間の緩衝材」となるコーチがいなくなった2021は、恐らく、恐らくですが、選手が監督に対して直接意見を言い難い環境になっているのではないかと思わざるを得ません。

そう考えると今チームに必要な要素は

  • 選手のコンディションや意見について、上司である監督にしっかりと状況を報告し、対策を進言できるだけのサッカー観を持っている
      • いわゆる上司である監督の視点を持って実直に討議ができる軍師タイプ(原監督にとっての倉又コーチ)

 この軍師的存在がいない、というのは、試合と並行してYoutubeでキャストされている青赤Parkからも感じるところです。
当該プログラムでは羽生、石川の両氏もチームがうまくいっていない原因を直接的に言及しています。
フロントスタッフでもありますが、選手経験値も高い二人が言及しているにも関わらず、その指摘ポイントが数試合にわたって改善されていない、ということは監督までその意見が届いていないのでは?と思わざるを思えません。
よしんば届いていたにしても、長谷川監督自身が抱え込んでしまう形になり、結果的に判断を下すに際して孤立してしまっているのではないかとも言えます(いわゆる「管理職の孤独」という問題)

こう考えると、必要なことは監督交代という短絡的な対処ではなく、選手と監督の間にある見えない溝を解消する策だけでチームが立て直せるようにも思います。

もっと細かいことを言えば、5人となったブラジル人選手と日本人選手の関係性についても同様にパイプ役が不在なのでは、と思います。

解決に向けた想い〜監督交代よりも

ここまで述べてきたように、とにかく選手に対して問題を落とし込んで伝えられ、のかつ選手の声を拾えるコーチの採用または登用が必要になると思います。
現状のスタッフからすると、佐藤由紀彦コーチがその担い手なのかもしれませんが、イメージ含みで適任と思う方を想起すると、選手からも尊敬を集めてており、実績も兼ね備え、率直に意見を言える主将タイプかと思います。

そう考えると、適任は羽生氏でしょう。
忖度なく率直に意見を言う性格、オシムに鍛えられた戦術眼、代表での経験値は個々の選手に対しても、長谷川監督に対しても十分に説得力があります。

次点を挙げるなら、中村忠U18監督です。
長谷川監督とは6つ離れてはいるが東京というチームでの長きに渡る指導経験、及び自身の手で育てた選手も多いことからトップチーム選手の兄貴分になれると思います。加えて、DF出身でもあるので守備面での改善を的確に捉えて上申できる可能性もあるでしょう。

現状での監督交代のリスクを考えると、長谷川監督で乗り切るしかない
通常のシーズンであれば、監督交代という策に対して切れるカードはいくつもあるかもしれません。
しかし、コロナ禍のシーズン途中という状況を踏まえると、国内指導者に目を向けるしかないのが現状です。
その背景を考えると、現状の在野の指導者で長谷川監督以上の経歴を持った指導者はいません。
頼りのカードとして使ってきた大熊氏もFC東京から離れて久しいですし、過去の経緯を考えると再び戻ってくれる可能性は低いと思います。
現状を変えるカードは戦術変更もありますが、まずはチームの状況を変えられて、かつ失われているピースを埋められるカードを切ることでしょう。

また、プレー面を含めて批判を全身で受けることが多いですが、主将である東が今この状況でこそ主将としてどう振る舞えるのか、も試されているタイミングでもあります。
気づいていること、わかっていること、に対してFC東京というチーム全体が取り組んでいけるのか、が問われています。

とはいえ、今我々ファン・サポーターができることはこの球場から一日も早く脱してくれることしかありません。
やまない雨はない。
そう信じて諦めずに頑張りましょう。