Match Review 2021.4.11 FC東京 vs 川崎フロンターレ

過程が示した結果

札幌戦のレビューを書かないとな、と思っているうちに時間は過ぎていき、業務やコーチ業で疲弊してあっという間にフロンターレ戦当日を迎えました。
と同時に札幌戦のレビューは放棄する、という安易な選択肢を選んだわけですが、「別にレビュー書いて給料もらっているわけでもなし。」と思っているわけではなく、単に1日が48時間あったらいいよね、ぐらいに思っているワーカホリックです。

さて、あらゆるところで触れられていることですので今更言及する必要もないのですが、FC東京が勝てなかった理由はその過程が全てであり、川崎の勝因はその誤ったFC東京の過程を見逃すことなく楽に自分達のペースを維持できたことでしょう。
そのくらいFC東京のプロセスは酷かったです。
「結果良ければプロセスが悪くてもOK」であったのはシーズン序盤によく言われる言葉ですが、シーズン中盤に突入するこの時期にあのプロセスでは先が思いやられる、というのが正直な感想です。
一方で自分を宥めているのはその「シーズン序盤」という言葉です。
まだ9節。今シーズンは残り29試合あるわけです。
4分の1が終わったこのタイミングを序盤とするのか中盤とするのか、これによって見え方は大きく変わってくると思います。

川崎 - 当たり前のことを当たり前に

フロンターレのポゼッションを観ていると、前夜に観たマンチェスターシティーのボール回しを彷彿とさせるな、と思いました。
いみじくもその試合は(僕が応援する)リーズ・ユナイテッドとの試合であり、試合内容もボールを持って相手の隙を狙っていくシティと、とにかく耐えて一旦マイボールにするとポゼッションをよりも前に進むことを選択するリーズ、とこのJリーグの試合を予習したかのような内容でした。
さらに言えば、その試合の解説は中村憲剛氏でしたが、氏が注目していたのはシティの動きであり、ペップ・グアルディオラの一挙手一投足でした。
このことからも、川崎の元選手としてもシティのサッカーというのは強く意識しているということがよく分かりましたし、解説の端々からフロンターレが参考としているであろうポイントがよく分かりました。

「いやいや、流石にシティに比べたらやり方も全然違うでしょ。」
という意見が大半を占めるかもしれませんが、まあ落ち着きなさいな、と。
両者に共通するのはインサイドキックを主体とした近距離の早いパス、ボールを浮かせない正確なトラップ、2タッチ目でのパスとそのスピード、その受け手の動き、この当たり前のことを当たり前にやっていること、そしてその連続性が大きな共通項です。
小難しい5レーン理論やら、カウンタープレスやらという言葉を使う以前の部分が高い次元で実現されていることが両者の共通点です。
(だからってシティに川崎が勝てるとは言ってませんよ。個の力量が大きく違うことはいうまでもありません。)

これは風間前監督がとにかく拘った部分であり、その後を受けた鬼木監督もその部分を決して緩めることなく続けているため、他チームに比べてもパススピードとそれを受けるトラップのミスでのボールロストが極めて少ないのでしょう。
そのため相手チームは川崎がボールを保持するとしっかりブロックを作ってミスが起こるのを待つのか、激しくプレスを賭けに行くことを選択するしかありません。
すでにこの時点で川崎の術中に嵌ってしまっているわけですから、川崎が主導権を握り続ける試合になってしまうことは仕方のないことです。

そしてもう一つ川崎とシティの共通点は、ボールを失った時のトランジションスピードの速さです。
失った瞬間から周囲の選手まで含めてボールを奪うことに意識がいっていることが観ていても分かります。
その際、後方との間に距離・スペースが出来てしまう事も両者の共通点で、観ている側からすればそのスペースを使えば反撃のチャンスと思いがちですが、ボールホルダーからすればプレッシャーが速過ぎてそのスペースを使うまでの判断に至れません。
川崎とシティ、両チームはその弱点を補う意味でも奪われたその瞬間を非常に大切にしているのだと思います。

逆を言えば、ここが川崎を攻略する唯一のポイントと言えるでしょう。
相手チームはボールを奪い、川崎にプレッシャーをかけられる状況であっても、しっかりとボールを動かすことが必要になってきます。
ボールホルダーに対してしっかりと2つ以上のパスコースを作る、それがダメならボールホルダーがプレッシャーを1枚剥がして素早く縦パスに移行する。
高いレベルでの守備者のポジティブ・トランジションが必要となりますが、高い次元で完成された川崎の戦術を破る第一歩でしょう。

東京 - 曖昧さがもたらした失点の山

前述した数少ない川崎の弱点を突く、という意味ではFC東京は決して対応できていなかったわけではありません。
19分のディエゴ・オリヴェイラのバックヘッド、1点目、2点目、全てにおいて起点となっていたのはフロンターレからボールを奪った後に出来たFWとMFの間のスペースです。
ここからスペースに動いた前線の選手にパスを出したことで、ゴール前にボールを入れることができました。
なので、この日のFC東京は決してフロンターレの攻略法を実践できていなかったわけではありません。
問題はフロンターレに最もボールを持たせてはいけない、ピッチを縦に三分割した際の中央部でのミスに尽きます。
1失点目は安易な縦パスを洗濯したことでボールを失い、シンプルに繋がれたもの。
2失点目も同様で、受け手が攻守の切り替えについていけていない=チームとしての統率が取れていない状態でのパスミス。
3失点目は言わずもがなで、自陣ボール前での繋ぎのボールを相手が狙っているにも関わらずトラップをピッチ中央に向けて行い奪われました。
4失点目は疲労が出始めるタイミングで全員がボールウォッチャーになってしまっていたことなので、上記の3失点とは意を異にします。

これらの失点は全て「ミス」です。自滅と言っても過言はないでしょう。
こういったミスが生じることは無論選手個々の問題もあるでしょう。
しかし、それ以上に選手が変わるとこれまでの試合で出来ていたことが出来なくなる、という課題が見えます。
これを言い換えると、チーム全体で「FC東京のサッカー」というものが共有認識になっていない、という異に繋がると思います。
これまでの試合では、森重がアンカーポジションに入ることで、ビルドアップの際には森重を経由して幅を取ったり、状況に応じてバックパスからサイドを変えるパスを選択したりと、確実なビルドアップを行いながら、効果的に長いボールを入れて相手DFラインを押し下げるシーンが見られました。
しかし、森重がセンターバックに入ったこの試合では、そのビルドアップのポイントが最終ラインに入ってしまっているため、青木を使うのか安部を使うのかが不明確でした。
その一方でDFラインの選手はこれまでの流れで一列前にいるべき森重を探しますので、パスミスをしたり苦し紛れなロングパスを出しては川崎にボールを渡してしまっていました。
後半3-5-2にしてワイドに選手が広がることでボールの出し先が見つかったので、「3-5-2の方が良い」という声がネット上でも多く見られますが、僕自身は3-5-2は結果論でしかないと思います。
4-4-2でも4-1-2-3であっても、先にあげた川崎の弱点を突くことは出来ますし、システム的には川崎が採用する4-3-3に対して3-5-2は5バック的に臨まないと噛み合いません。
大事なことは青木と安部を起用したこの日の布陣において、中盤のビルドアップを誰が担うのか、もしくは中盤を廃して高い位置に一気ボールを送る、何がトランジションの時点での狙いだったのかが不明確であったことでしょう。

非常に曖昧な状態で試合に入ってしまったが故に、前半20分という早い段階で選手にもスタジアムにも敗色が浮き出てしまったとも言えると思います。

たらればを言えるなら、どうしてセンターバックにオマリじゃなかったのか。
首位チームを追い込むために必要だったのが森重アンカーではなかったのか・・・。

外からダイアゴナルに・・・

札幌戦のレビューを考えていた際に、ディエゴ神の他に非常に印象的だった得点機としてピックアップしようと思っていたのが、21分の中村拓のクロスをアダイウトンがヘディングシュートしたシーンでした。
これまではクロスを入れる際にどうしても田川とディエゴの2枚、もしくは2列目からペナルティに入ってくる選手の3枚という、点と直線的な動きに合わせる動きが多かった印象です。
しかしこのシーンでは一番遠いところからダイアゴナル(斜め)にゴール前に入ってきたアダイウトンが合わせて得点機を作りました。

川崎戦でも2得点はボールから遠いサイドのアダイウトン、内田が斜めにゴール前に入ってきてのものでした。
斜めに入る、というのはパスする側からしても面でパスを出すポイントを探すことが出来ます。
縦に入ってくるとどうしても点を探す必要がある異に比べるとパサーにとっても非常に優しい動きになります。
一方で守備側からするとボールと選手という2点を監視したいのに面で守る必要性が出てしまうので、ダイアゴナルに入られるのは非常に厄介です。

イメージがつかない方は、机の上でスーパーボールでもビー玉でも(そんなもん令和の時代に家にあるか知りませんが)右手の指先におき、左手の指をボールに対して縦に動かすピンポイントで弾くのと、遠いところから斜めに入ってくる左手の指に向かって弾くのと、どちらが合わせやすいのかを試していただくと印象が大きく違うと思います。

攻撃においてはこれまでもディエゴや田川がダイアゴナルに入ることでゴールを決めたシーンがありました。
この形にワイドの選手であるアダイウトンや内田が加わったことは、FC東京の得点機を増やす意味でもあります。
この試合で連発したミスはミスとして受け止めざるを得ません。
中村拓に関しては、反撃の狼煙をあげたチームを奈落の底に落とすようなミスをしてしまったのは確かです。
ただ、怪我人続出の中で中村拓には経験を積み「強く」なってもらう必要があります。
それこそがチームとしての基盤であり、底上げに繋がります。
個人的には次の試合、中村拓を外すようなことがあれば長谷川監督を見る目が変わるでしょう。
このレビューでも、長谷川監督を批判するような言葉が増えてしまうかもしれません・・・。

まだ序盤、と考えれば、中村拓はまだまだここからではないでしょうか。
岡崎も同様です。

Match Review 2021.4.3 名古屋グランパス vs FC東京

相似か相同か

3月下旬から4月初旬にかけてのプライベートな忙しさが久々に帰ってきました。
仕事が年度末(弊社は4月末)なのもそうですが、チームの解団式そして新たな選手の体験練習と、コーチ陣も新しい環境に向けた高揚感と寂寥感に浸る時期でもあります。
そんな状況でもあるので結果試合のチェックは4月4日(日)深夜近くになってしまいました。

言い訳はさておき、非常に締まった良い内容のゲームだったと思います。
0-0という結果であるからこそ「良い内容」という言葉でもありますが、双方共にいんてんしてぃ(強度)が高く集中力も最後まで途切れることのない試合でした。

この両チームの試合を見るにあたっては、どうあってもマッシモ・フィッカデンティ名古屋監督の存在を無視することはできないでしょう。
すでにFC東京を離れてから5年が経とうとしていますが、FC東京の礎を築いた監督と言っても差し支えはないでしょう。
「攻撃」というキーワードを中心にしてきたFC東京において、「守備」に重きを置いた戦術をすり込んだ、という意味ではフィッカデンティと共にした2年間はチームにとってもサポーターにとっても大事な時間であったと思います。
一方で名古屋にとっても、トヨタ自動車の資金力を背景にして強力な補強作を繰り返しながらもなかなか結果が出なかった近年において、しっかりと守備から組み立てるサッカーによって優勝を争うまでに古豪を復活させた手腕は確かなもので、この試合を迎えるまでは6連勝という期待の持てるシーズン序盤となっています。

「高い位置から相手にプレッシャーをかけ速い攻撃を繰り広げる。」という似た形でがっぷり四つに組んだ試合。
これは相似なのか、それとも相同なのか。
双方が今展開するサッカーの起源がフィッカデンティという一人の指揮官によるものなのか、それともこの5年で辿った別々の道によるものなのか。
そんなことを考えると、酒が止まらない夜となりました。

名古屋 - 手数の少なさをどう補うのか

今シーズン名古屋の試合は開幕の福岡、4節の神戸との2試合を観て、この試合が3試合目でした。
守備に関しては彼の愛弟子とも言える丸山と米本を中心として、しっかりと整備をされた、いわゆる「背骨の通った」チームであるというのが強い印象です。
チームというのはGK〜センターバック〜センターハーフ〜フォワード、1本の筋がしっかりとしている必要がある、というのがフィッカデンティの哲学であると考えています。
僕自身も何がしかのチームを構成する際も、この「背筋」をどうやって通すのかを重視することもあり、フィッカデンティのチーム作りというのは非常に興味深く観ています。
チームバランスという意味では、川崎に対抗し得るチームだと思っています。

蛇足ですが、この「背筋」がチームに通っているのかどうか、というポイントを考えて色々なチームw見てみると、わかることが多くあります。
バルセロナ、マンチェスター・シティ、バイエルン、PSG、ユベントスなど、チャンピオンズリーグなど世界を席巻するチームは必ずと言っていいほど、この背筋がしっかりとしています。
直近ではポルトがユベントスに勝利をしましたが、やはりDFからFWまでしっかりと筋が通ったチーム作りがなされています。
ボランチが大事、と言われる現代サッカーですが、GK、CB、CH、FWに強力かつ献身性の高い選手が揃っており、縦の連動が成されているチームは簡単に負けない、というのが印象です。

で、名古屋の話に戻ります。
CB、CH(ボランチ)は代表クラスの強力な選手を並べていますので、人間で言えば言わば腰から下の足元がしっかりしていると言えます。
3試合観てきて、名古屋にとってはあとは背中から首、頭に繋がるポイントをどう定めるのか、ではないかと思います。

一例を挙げれば、この試合でもマテウスの献身性は非常に高かったと思います。
ピッチの場所にこだわらずに、左右、真ん中と激しく動き回り守備も厭いません。
しかし、このマテウスの動きというのは、人間の体で言えば肩や腕の動きとも言えます。
そのための頸椎、つまりは頭や肩をつなぐ重要な骨になる選手はいったい誰なのか。
ここが判然としないのが名古屋、という印象です。
本来であればシャビエルがその役割であると思いますが、ここを抑えられてしまうとこの試合のようにマテウスという強力な腕力も発揮できずに終わってしまいます。
そのためにも「頭」の役割にもなる強力なFW、過去を振り返っても仕方がないですがジョーのような相手DFにとって脅威になり得る選手がいた方が良いように思います。

恐らくは名古屋フロントとしては柿谷にその役目を担って欲しいのかもしれません。
が、柿谷は純粋な9番というよりは8番タイプの選手です。
高いテクニックで相手を釣り出したり、スペースに飛び出てゴールを取るタイプの選手で、年間で20点取れるようなタイプではありません。
どちらかといえば左右のワイドに置いて自由にシャビエル、マテウスとポジションを入れ替えさせた方が効果を発揮する「腕」のタイプです。
そのため、マテウスが動き回りボールを保持しても、最後の局面での「なんか1枚足りないぞ」という間を拭い切れませんでした。

ここまで長々と訳のわからない生物学的サッカー論を打(ぶ)ってきましたが、名古屋はもう1枚「頭」ができれば手数の少なさが解消されるのではないかと思います。
この試合でもフィッカデンティは縦への速さや個で仕掛けられる選手を入れて局面を変えようとしましたが、最終的には力量としては少々不足する山崎に「頭」としての役割を担うより仕方がなくなった感があります。

ランゲラック〜丸山/中谷〜米本/稲垣〜シャビエルと強固な背筋を持つだけに、川崎に対抗するには一番手になり得るだけの戦力を持ったチームです。
柿谷をどう使うのか、どう手数を増やすのか。
夏場の補強次第ではありますが、そのタイミングまで攻撃面をどうやって担保していくのか。
このポイントが名古屋にとっては課題になりそうに思います。

東京 - 縦横斜め

背筋が通る、ということいえばFC東京のシーズン序盤はなかなかその背筋が見えなかったと言えます。
その要因としてはこれまでのレビューでも触れてきたように、3月いっぱいぐらいを目処に選手の見極めを行いローテーションを多用してきたから、というのもあるでしょう。
その過程でようやくこの試合でFC東京の一本筋が見えたと言っても良いでしょう。

児玉ー渡辺ー森重ーディエゴというラインが出来上がり、それぞれが調子を上げてくることで守備から攻撃への流れや力強さが垣間見えた試合だったと思います。

序盤のチャンスではディエゴとアダイウトンの縦のワンツーからディエゴがペナルティに侵入し、最後には田川のシュートまで行きつきました。
27分にも小川を起点にディエゴを経由して1タッチ、2タッチでの早いパス回しから小川のシュートに至っています。
36分の三田がシュートしたシーンは、肉体で言えば肩から腕とも言えるアダイウトン、田川、三田でシュートまで持っていっています。

得点には至りませんでしたが、このような2列目の選手まで連動してシュートまで繋がる動きをどれだけ増やせるのかがこれからのFC東京の課題と言えるでしょう。
例えて言えば、上記に挙げた前半3度の頭、肩、腕が連携したシュートチャンスまでに至る動きが倍出てくれば自ずとゴールに繋がるのではないかと思います。
個人的には観ていて最も面白かった45分間がこの名古屋線の前半でした。

縦の一本筋が出来上がってきたFC東京ですが、後は両腕、両足とも言えるサイドやインサイドハーフの構成をどうしていくのか、が悩ましいところです。
ボールを持った時の推進力、という意味ではここまで出色の出来を見せている三田は当確でしょう。
日本代表入りで奮起が見られる小川も同様です。
三田とのバランスでいえばスペースを埋めてリスクマネージメントに長ける東も重要なピースですが、本来彼に求められる前に向かうという点ではまだまだ本領が発揮されておらず、謹慎明けの安部という手もあるかもしれません。
両ワイドについてはレアンドロの状況が気になりますし、頭角を表しつつあった渡邊凌の長期離脱も痛いところです。
肩の状況が気になる永井も長い時間使えるのかが疑問、と考えると好調の田川を軸に起用機会も多くフィジカル的にも充足しているアダイウトンで両翼をになっていく、ことでしばらくメンバー起用がなされると思います。
サイドバックが中村帆の怪我で少々不安が残りますが、その点は中村拓が軸になり得ますので、新たな選手起用も含めたチームの底上げを行っていくものと思われます。

いずれにしても、ほぼ固まったメンバーの中で変化をつけられるような選手起用がどうできるのか、は変わらず今後の注目点になると思います。
この試合前半45分はこれまでの試合の中でも最も迫力のある攻撃を見せた一方で、後半は交代選手を送り込むまでは手詰まり感が出てしまったのは明らかです。
永井やレアンドロは然り、内田など若い力まで含めた交代選手が、後半の流れを変えるピースとしてどう一本筋、幹の枝葉となり花を咲かせるのかが非常に重要な要素になってきます。
次節からはこの交代策にも注目をして見ていくと面白いかと思います。

新守護神誕生なるか

2選手のプロトコル違反に関してはサポーターの間でも色々な意見があるでしょうし、僕自身も思うところはありますがここでは控えておきます。
いずれにせよ、その謹慎期間にGKに関しては児玉がポジションを得て非常に良いプレーを見せているのは事実です。
昨シーズンは林の牙城もあり仙台戦1試合の出場に留まりましたが、そのパフォーマンスも決して良いと言えるものではなかったので、今回も個人的には心配をしていました。
しかし、カップ戦、リーグ戦2試合ずつ計4試合で3つのクリーンシートはGKとして十分な結果を出しています。
これまでローテーションによりチームが定まらなかったことを割り引いたとしても、ライバルである波多野が5試合クリーンシートなし、という結果と比較しても今後もしばらくは児玉がゴールマウスを守ることになると思います。

この日も何気ないプレーでしたが、40分のCKからマテウスがシュートを狙ったシーンでも安易に飛び出さずしっかりとボールの軌道を見極めて弾き出したシーンや、70分のクロスへの対応でもボールが蹴られるまでしっかりとステップを踏んで準備して反応した点など、準備を怠らない姿勢が見て取れました。
試合中も非常に細かくポジションを修正していることからも、ゲームの展開を読んでそれに応じたポジションを取ることを意識していることが分かります。

僕自身はGKについては指導においても門外漢なので細かいところは分かりませんが、それでもこういった児玉が見せる小さいことの積み重ねがクリーンシートに繋がっているということは感じ取れます。
今週の札幌、川崎との2試合でどういった結果を出すのか、によって林が帰ってくる場所もない、という状況にも繋がるかもしれません。

プロトコル違反というきっかけではありましたが、代役がしっかりと主役級の活躍をしていることはチームにとって本当に心強い状況です。
今週の2試合、注目ポイントは児玉といっても良いかもしれません。

たった1つしかないポジション。今週の出来如何では新守護神誕生と言える瞬間に出会えるかもしれません。