Under 21 EURO Footballic注目選手

未来のスターを探せ!

日本時間2021年3月25日午前2時、UEFA U21選手権が開幕します。
日本ではWOWOWが独占放送を行うため、観れる方は限られてしまうと思いますが、過去の大会から見ても未来のスター候補が多く出場します。

過去大会を見ても、ピルロ、フンテラール、ジラルディーノ、マタ、チアゴ・アルカンタラ、ダニ・セバージョスなどなど、その後トップ選手として活躍する選手が多く出場しています。

今大会も既に欧州トップリーグで活躍する選手の出場が予定されていますが、多くの選手の中から当サイトの注目選手を各チーム毎にあげていきたいと思います。

理由を書き出すと大会期間どころか何ヶ月経っても終わらなそうなので、あくまでもチーム名と名前のみの記載としています。

また、各選手の選出根拠は以下の通りです。

・所属チームの試合、または過去のユース国際大会映像などで観たことがある
・欧州各リーグの中で観たことがある
・ゲームFootball Manager内のYoungster Listで名前が上がっており、実際にYoutubeなどで動画を確認したことがある(ゲーム内で獲得してよく成長したから、という不確定要素は含めない)

試合やハイライトを目にする機会があれば是非注目してみてください。

グループリーグ

各グループは以下の通りです。

各グループでのグループリーグを3月25日〜4月2日(日本時間)で行い、各グループ上位2チームによる準々決勝が6月1日、準決勝が6月4日、決勝が6月7日に行われます(それぞれ日本時間)。
U21と言えどもその力差は歴然のため、決勝トーナメントはトップチームの力量通りになってくると思います。
Group Aはドイツとオランダ、Bはスペインとイタリア、Cが少々迷いますがフランスとデンマーク(かロシア)、Dはポルトガルとイングランドで各グループ首位が争われると思いますが、いずれの状況でも決勝トーナメントは激しい戦いになり、非常に見応えのある大会になると思います。

各チーム注目選手

以下が当サイト注目選手です。
コピペで対応のためテキスト整形しておらず見づらくてごめんなさい。
(だって整形するの面倒なんだもん・・・)

全ての選手注目なのですが、特にという意味ではオランダのKoopmeinersとBoadu。
及びフランス、ポルトガルの選手も中堅からビッグクラブへの移籍は遠くないでしょう。
地味なところで楽しみにしているのは、デンマークのサイドバックRoerslevです。

せっかくの機会ですので、是非注目してみてください。

グループA

ドイツ 

   ・DF Stephan Ambrosius (Hamburg)

   ・MF Arne Maier (Arminia Bielefeld, on loan from Hertha Berlin)

   ・FW Lukas Nmecha (Anderlecht, on loan from Manchester City)

ハンガリー

   ・FW Adrián Szőke (Heracles)

オランダ

   ・MF Teun Koopmeiners (AZ Alkmaar)

   ・FW Justin Kluivert (Leipzig)

   ・FW Myron Boadu (AZ Alkmaar)

ルーマニア

   ・DF Radu Drăgușin (Juventus)

   ・FW Alexandru Mățan (Columbus Crew)

 

グループB

チェコ

   ・GK  Matěj Kovář (Manchester United)

イタリア

   ・DF Gianluca Frabotta (Juventus)

   ・DF Matteo Gabbia (AC Milan)

   ・MF Sandro Tonali (AC Milan)

   ・FW Patrick Cutrone (Valencia, on loan from Wolves)

スロベニア

   ・MF Adam Gnezda Čerin (Rijeka, on loan from Nürnberg)

   ・FW Žan Celar (Cremonese, on loan from Roma)

スペイン

   ・DF Oscar Mingueza (Barcelona)

   ・DF Juan Miranda (Real Betis, on loan from Barcelona)

   ・MF Brahim Díaz (AC Milan)

   ・MF Gonzalo Villar (Roma)

 

グループC

デンマーク

   ・DF Mads Roerslev (Brentford)

   ・MF Jesper Lindstrøm (Brøndby)

フランス

   ・GK Illan Meslier (Leeds United)

   ・DF Wesley Fofana (Leicester City)

   ・DF Jules Koundé (Sevilla)

   ・MF Eduardo Camavinga (Rennes)

   ・FW Jonathan Ikoné (LOSC Lille)

アイスランド

   ・MF Kolbeinn Finnsson (Dortmund)

   ・FW Sveinn Aron Gudjohnsen (Odense, loan from Spezia)

ロシア

   ・MF Nail Umyarov (Spartak Moskva), 

   ・MF Daniil Utkin (Krasnodar)

 

グループD

クロアチア

   ・DF Domagoj Bradarić (LOSC Lille)

   ・FW Petar Musa (Union Berlin)

イングランド

   ・DF Max Aarons (Norwich City)

   ・MF Eberechi Eze (Crystal Palace)

   ・FW Noni Madueke (PSV Eindhoven)

   ・FW Emile Smith Rowe (Arsenal)

ポルトガル

   ・GK Diogo Costa (Porto)

   ・MF Gedson Fernandes (Galatasaray)

   ・FW Trincão (Barcelona)

   ・FW João Mário (Porto)

スイス

   ・DF Leonidas Stergiou (St-Gallen)

   ・MF Alexandre Jankewitz (Southampton)

   ・Felix Mambimbi (Young Boys)

Match Review 2021.3.21 FC東京 vs ベガルタ仙台

模索の続く両チーム

春の嵐の影響で朝から激しい頭痛に襲われました。
薬を飲み布団に横たわるだけの日曜日。
眠りに落ちて目が覚めたら16:11。「ああ、試合は終わってしまったな。」と思いながら再び眠りに落ちて、試合の結果を確認するよりも前にFC東京の2選手が内規を破って会食に参加したという残念なニュースを知りました。
これについては特に論じるつもりもありませんが、ただただ残念でした。

そして改めて22日の終業後にDAZNで観戦。
ベストメンバーを模索しながら2勝2敗1引分のFC東京、同様にメンバーを変えながら初勝利を求める1分3敗の仙台。
違う立場で各々のあり方を模索するこの試合、結果は分かりながらもどんな違いが出るのか、楽しみに90分間を観ました。

仙台 - 手をつけるべきは切り替えの意識か

手倉森監督が復帰した仙台。
3連敗と非常に厳しい状況でこの試合を迎え、「もう一度開幕を迎えるんだ」とコメントした通りなんとか巻き返しをしたい、という意識は見えました。序盤の失点を避けるために非常にコンパクトな陣形を保ったことがこの意識を表していたと思いますし、局地的に非常に強度の高い守備をすることからもその意識は手倉森さんらしいサッカーだな、と感じるものでした。

ただ、仙台の試合は開幕戦の広島戦しか観ていないのですが、どうにも守備から攻撃への切り替えの意識が統一されていないように感じられてしかたありません。
この試合でもDFラインでFC東京のボールを奪うシーンがあったとしても、守備と中盤の間に距離があるシーンが多く見られましたし、逆に攻撃から守備に転換する際も、中盤2枚が前線に取り残されてしまい、DFラインとの間のスペースをFC東京にいいように使われてしまっていました。
60分に真瀬がシュート打ったシーンのように、ボールを握れている際は全体がコンパクトになっていて、3人目の動きも多いので非常にダイナミックな攻撃を展開できますが、カウンターに対しての備えと自分達のカウンターチャンスでの切り替えの意識がツーテンポぐらい遅い感じがします。
特にこの試合のように3-4-2-1というか5-4-1のような3センターバック方式を採用する場合は、切り替えのタイミングで中盤だけでなく最終ラインもしっかりと上がって行かないと、どうしても引きこもり方の守備にならざるを得ず、バイタルを自由にさせてしまいます。

65分にDFでビルドアップしているシーンが非常に分かりやすいのですが、東京がボールを奪ってカウンターを仕掛けたところを上手く奪いましたが、DFラインでボールを回している時に戻ってきている中盤は1枚だけです。
結局その中盤1枚へのパスコースを防がれて苦し紛れにロングパスを出して、再び東京にカウンターを与えてしまったのは、全体の切り替えの意識とハードワークがまだまだ浸透していない証ではないかとも思えてしまいます。

仙台も選手を入れ替えながらなんとか自分達のサッカーを形作ろうと模索していると思います。
先にも述べたように、自分達のボールになった時の攻撃の形はやりたい事が見えるサッカーですので、後は攻守の切り替えのところでテンションが上がってコンパクトな陣形を保ち続けられるようになれば初勝利は遠くないように思えます。

東京 - 田川の意識の変化

今日は珍しく一人の選手にフォーカスして見たいと思います。

先制された直後の26分に田川が決めたゴールの形は先にハイライトで観ていました。
アタッキングサードでボールを持ったらゴールに対して最短コースを進む。
右サイドから中にカットインする形でドリブルしてからの見事なゴールでした。

このシーンの残像が残っている状態で試合を観てみると、これまでの試合とは違った田川の意識の変化に気づきます。

そのきっかけは5分の段階でも観ることができます。
このシーンは渡辺が中盤で奪ったボールをドリブルしファールをもらいました。
得点シーンでは森重とのワンツーで相手中盤の裏に飛び出すと、5分と同様にゴール前に入っていき左足を一閃しました。

この二つのシーンを踏まえると、FC東京に不足していた動きを田川が意識していることがよく分かります。
これまでの5試合では田川に限らずFC東京の選手はボールを受けると縦に縦にの意識が非常に強く、それがために相手DFが中心を固めてしまってクロスを入れられない、というシーンが続出していました。
しかし、この田川の動きというのは非常にDFからすると厄介で、斜め(ダイアゴナル)に入ってこられると、一発で取りに行って中にカットインされる可能性もありますし、左利きの田川が相手と考えると、DFから見ると奥の足でボールを持たれていますので、出した足が田川の右足に引っかかる可能性が高いので容易にはボールを取りにいけません。
プレスバックする中盤の選手にとっては、田川の後ろからボールを取りに行く形になりますので、これもまた簡単に足を出してFKを与えるわけにはいきません。
得点シーンにおいては5分のプレーが呼び水となっていることもあり、仙台のDFからすると対処を迷って田川に時間を与えてしまったことは悔やんでも悔やみきれないでしょう。

得点シーン直後の30分には、ディエゴ・オリベイラにボールが入った瞬間に、田川が追い越して真っ直ぐペナルティに入っていくことで、仙台DFはラインを下げざるを得ず、その隙に右サイドを上がった中村帆にボールが渡りチャンスを迎えました。
試合直後に田川が見せた動きが仙台DFに強い印象を与え、その後の同点弾はもちろんのこと、東京が得た数々のチャンスにおいてしっかりと効いていました。

このような田川の動きは、センターに入ったディエゴが仙台センターバックの間にポジショニングを取ることで仙台のDFと駆け引きをしてくれることで出来るギャップを突く、という新たな攻撃の形にも繋がります。
あまり目立たないプレーでしたが、40分に田川がバイタルでボールを受けてDFラインの裏に飛び出た三田にパスを出したシーンも、真ん中でディエゴが存在感を示しているがために田川が少しポジションを落としたところでプレーできるがために観られたシーンでした。

ディエゴと田川。お互いが付かず離れず、守備陣にとっては非常に嫌な距離感で質の違ったプレーをすることで、仙台守備陣を撹乱した良い連携が観られたことはこの試合での大きな収穫だったと思います。
レアンドロの状態が分かりませんが、田川はこの試合でポジションをしっかりと掴んだと思います。

東京はほぼメンバーが固まったか

よもやよもやのチーム・プロトコル違反で2選手が出場できなかったこの試合が怪我の功名となるか、ここまでの試合の中で最も良いサッカーを展開していたと思います。
前節のレビュー最後で、森重アンカーだと中盤は安部が当確としましたが、この試合で見られた三田と東のコンビが望外によかったと思います。
ボールを運ぶ事ができる三田の相手はボールを奪う力のある安部、と思いましたが、三田が動いて出来るスペースのマネージメントを東がきちんとこなしていましたし、その分そのスペースで東がボールを受けると、効果的に深い位置でボールを収めていました。
このコンビネーションに森重が絡むことで、仙台の攻撃を早い段階で潰せていたとおもいます。

攻撃陣も非常に良い形になってきたと思います。
この試合では田川、ディエゴが決めましたが、途中出場渡邊凌もいきな絶好機を迎えましたし、非常に良い動き出しとどのスペースに入るべきか、が良く見える選手だということを改めて示しました。
繰り返しとなりますが、レアンドロの状況がわからないこともありますが、ディエゴを真ん中に両ワイドを田川と渡邊凌でも面白いと思いますし、その交代でアダイウトン、永井というオプションもありでしょう。
ただ、渡邊凌の怪我はちょっと心配です・・・。

守備面ではセットプレーの守備が、と思いますが、そこは割と簡単に修正が効くポイントなので今回は言及せずにおきましょう。

双方模索が続くチーム同士の戦いでしたが、仙台はもう少し時間がかかりそうな印象を受けました。
一方の東京は恐らくはもうスタメン含めてゲームプランの基礎が出来たように感じます。

いずれにせよ、リーグ戦としては1週間以上時間が開く名古屋戦がそのお披露目であろう、という僕の考えは変えずにおきたいと思います。

Match Review 2021.3.20 Fulham F.C vs Leeds United

手の内を理解し合った対戦

業務多忙とウィークデーにJリーグがあると、予想も試合前記者会見もサボらざるを得ない・・・。
しかもロードレースも好きなので、ミラノ=サンレモも観たい・・・。
だからと言ってレビューもサボっては意味がないので、ミラノ=サンレモを観ながらの「ながら仕事」ではあるけど頑張ろう・・・。

前節チェルシー相手にサッカーオタク垂涎とも言える高品質なドローゲームを展開したリーズ。
今節は今シーズン共にチャンピオンシップから昇格したフルハムとの対戦となった。

言うなれば昨シーズンもチャンピオンシップで昇格を争ったチームでもあるため、お互い手の内を理解しあった対戦だった。
その戦いは両者とも非常に似通った試合内容となり、両者共にDFラインからビルドアップして前線に眺めのボールを入れて起点を作る、というカウンターの撃ち合いとなった。

リーズにとってみれば前節がプレミアチーム同士の削り合いであるとするならば、今節はチャンピオンシップのような、悪く言えばゲーム内容としては品質の悪い殴り合いとなった。

スロースタートが悔やまれるフルハム

フルハムとってみればVARが採用されたことによって2度救われたと言えるかもしれない。
8分にタイラー・ロバーツに左サイドを破られてエイリングのプレミア初ゴール、と思われたゴールがオフサイド(ロバーツの頭がオフサイドラインを出ていた)で取り消され、その後も19分のラフィーニャのゴールも取り消された(これはVARというよりも目で見ても明らかだったが)。
この20分の間全くスイッチを入れられなかったことがフルハムにとっては敗戦に繋がったと言えるだろう。
その上、20分のコーナーキックから英語コメンタリーが「ピンボールのゴール前!」と評したゴール前の競り合いから振り向き様にマジャが放ったボレーをリーズGKメリエに片手で弾かれたことで、流れを引き寄せることができなかった。
その直後にスローインで気が抜けたところからハリソン→バンフォードと繋がれて失点をしたことから考えると、スロースタートだったが故にみすみすリーズに主導権を渡してしまったと言わざるを得ない。

総体的に見ればこの試合はフルハムが勝ってもおかしくない試合だった。
DFラインからしっかりと組み立てながら、ミッドサードの高い位置でアンギサが起点を作り、カバレイロ、ルックマンというハードワーカーを使って攻撃を組み立てるシーンが多かった。
ドリブルで崩したり、スルーパスで決定機を演出するわけではないが、ハードワークから高い位置でボールを奪って手間をかけずにゴール前に繋げよう、という姿勢は冒頭にも言ったようにリーズのそれと非常に似たサッカーになっていた。

とは言え、リーズと決定的に違うのは、DFから丁寧に組み立てるという点だった。
このポイントが勝負の分かれ目になったとも言える。
この試合の決勝点となったリーズの2点目は、中盤でしっかりとパスを繋げようとした結果リーズのフィリップスにボールを奪われてしまった。
直近でリバプール、マンチェスター・シティという格上と戦ったことでポゼッション出来ずにカウンター狙いで行かざるを得なかった試合を展開していた中で、ポゼッションを重要視するわけではないリーズと相対したことで必然的に「持てる」状況になってしまったこともあるだろう。
持てるが故にボールホルダーに対して激しくプレスをかけるリーズにとっては格好の的となってしまったと言える。

降格争いから少しでも頭を抜け出したいフルハムにとっては最低でも勝点1を獲得したかった試合だっただろう。
相手が昨年チャンピオンシップで昇格に向けた鎬を削ったリーズであれば尚更、勝点3を取りたかったという思いもあっただろう。
その相手を向こうに回して、普段と違うこと=ポゼッションサッカーで圧倒しよう、としてしまったことが結果に繋がってしまったのかも知れない。

とは言え、先に触れたアンギサ、また後半から入ったミトロヴィッチによってしっかりと攻撃の起点が作れるだけに、相手なりのサッカーを展開することができるチームであることは間違いない。
リバプールに圧倒されながらも勝利した前々節を考えれば、残留の可能性も見えてくるだろう。
鍵は自分達が今最も勝点奪取に必要なサッカーを追求するだけの「余裕」をこれからの試合で持てるか、つまり相手にある程度ボールを握らせるサッカーをできるか、になるだろう。

見事なカウンターパンチ2発

サッカーファンとしては自分が応援しているチームが相手DFを崩し切ってゴール、というのが最も興奮し、酒が美味い瞬間だ。
しかしながら、この試合はそういう酒の美味さを感じるゴールではなかった。
言うなれば、相手の隙を見逃さずに上手にカウンターパンチを当ててダウンをとったボクシングの試合のような感じだった。
観ている側からすれば「あれ?今何が起こった?」というぐらいの感覚を受けるゴールシーンだった。

ただ、ある意味ではそれもリーズらしい、ということが言えるだろう。
2点目のシーンは特にその最たる例で、中盤でパスを繋ぐフルハムに対してフィリップスが一気にプレッシャーを掛け、バックパスしたところをプレスバックしたバンフォードが奪ってラフィーニャに絶妙なパスを出してゴールへとつなげた。
僅か3人で5人の守備陣を切り裂く見事なカウンターだったと言える。
特にバンフォードにボールが入った瞬間に、ボールを奪う起点となったフィリップスが勢いそのままにスプリント、得点したラフィーニャも一気に加速してバンフォードの前に出たシーンは、非常に迫力のあるシーンで、このカウンターパンチこそビエルサが求める形なのではないかと思えるシーンだった。

とは言え、これまでに散々このサイトのリーズ表でも触れてきたように、この試合でも中盤でゲームを構成することができないために、たまたま決定的なカウンターパンチが当たってくれただけの勝利に過ぎない、というのが率直な感想だ。
メリエによる数々の神がかったシュートストップがなければ、フルハムの勝利であったとも言える。
たられば、を言っても仕方がないが、攻守のトランジションが激しすぎるが故に裏返されるとDFラインが止めることができず、最後の砦メリエに頼るシーンが多く見られる。
中盤にダラスがいることで非常にインテンシティの高いプレッシャーを相手にかけられるが、その分ボールを収める、相手がリトリートしている場合には無理に裏を取るようにしない、という形も取ることができる。
その意味では引き続きクリヒの復調と夏の移籍市場に向けた動きが期待されることとなる。
AZのクープマイナーズ、ウディネーゼのデ・パウルなど噂は出るものの、リーズが獲得するには少々高貴な名前が多く、実態を伴った補強の噂とは思えない。

とは言え、このフルハム戦の勝利で勝点は39となった。
過去10年間勝点40を得て降格したチームはないとのことで、残留に王手をかけたとも言える。
ここまで29試合で勝点39。
平均で考えれば残り9試合で12点を積んで、勝点51前後でシーズンを終えてしっかりと来季に向けて戦略を練ってもらいたい。

1

2

得点

ヨアヒム・アンデルセン(38′)

得点

パトリック・バンフォード(31′)

ラフィーニャ(58′)

In/OutPos.FulhamLeeds UnitedPos.In/Out
GKアルフォンス・アレオライラン・メリエGK
LBアントネー・ロビンソンエズジャン・アリオスキLB
CBトシン・アダラビオヨパスカル・ストライクCB
CBヨアヒム・アンデルセンディエゴ・ジョレンテCB
Out(72')RBオラ・アイナルーク・エイリングRB
Out(63')DMハリソン・リードカルヴィン・フィリップスDM
DMマリオ・レミナジャック・ハリソンLM
LAMアデモラ・ルックマンスチュアート・ダラスCM
CAMアンドレ・ザンボ・アンギッサタイラー・ロバーツCMOut(93')
RAMイバン・カバレロラフィーニャRM
Out(46')CFジョッシュ・マジャパトリック・バンフォードCFOut(77')
SubSub
GKファブリシオ・アゴストキコ・カシージャGK
In(72')DFケニー・テテロビン・コッホDFIn(93')
DFマイケル・ヘクトルガエタノ・ベラルディDF
DFデニス・オドイマテウシュ・クリヒMFIn(77')
DFティム・リアムジェイミー・シャクルトンMF
DFジョー・ブライアンジャック・ジェンキンスMF
DFテレンス・コンゴロエウデル・コスタMF
In(63')MWルベン・ロフタス=チークジョー・ゲルハルトFW
In(46')FWアレクサンデル・ミトロヴィッチイアン・ポヴェダFW

Match Review 2021.3.17 FC東京 vs 湘南ベルマーレ

「あ、勝った」

本業は来年2022年1月までの在宅勤務が早々に決まっており、なかなか外出機会もないのですがこの日はお客様先へ。
その後同僚と軽くビールを煽っていたため帰宅後当日に観れたのは前半のみ。
就寝前に思ったのは「まあまあ酷いよね」ということでした。
試合後FC東京長谷川監督も「大丈夫かなと思った」と言っていましたが、本当に前半をリードで折り返せたのはラッキーだったかなと思いますし、そういうラッキーをしっかりと勝点3に繋げられることが大事とも言えるでしょう。
前節のレビューでも記載の通り、FC東京はローテーションをしながらシーズンを進めてチームを固めていく、ということを長谷川監督も公言していますので、それを前提としてこの試合を振り返ってみたいと思います。

湘南 - お手本のような得点

第3節の対戦相手神戸と同様に湘南がすごく良かった、というのはあまり感じませんでした。

FC東京がよく言えばゆったりと試合に入ったことを考えると、もっと前半の段階でいろいろなことがやれたのではないかな、と思います。
後述しますが全体が間延びして試合に入ったFC東京ということもあって、ミドルサードでボールを握れるシーンが非常に多かった前半でしたが、湘南もどうしても「早く前に」の意識が強くミドル〜ロングパスで局面を優位にとしては2ラインでブロックを作ったFC東京に跳ね返されて、という繰り返しでした。
遅攻になった時にどう組み立てるのか、そこはFC東京と似たプレースタイルを持つチームだけに課題を同じものだな、というのが正直な感想です。

むしろ後半の選手交代を境にしてチーム全体に推進力が生まれ、ボールをしっかりと握りながら最短のルートを探して早く東京ゴール前に向かっていく、という意識が感じられました。
リードを許していた状況であることもありますが、3人目、4人目の動きがしっかりと見て取れるようになり、攻撃に迫力が生まれたことは今後の試合にも繋がる収穫だったのではないかと思います。

その中で2点目の高橋諒の得点は湘南にとって、また同時にFC東京にとってもお手本になる素晴らしい形での得点だったと思います。
それまでは高橋諒へパスが出ると縦に縦にの攻撃が多い状況でした。
縦に、という意識は相手DFラインを押し下げ、そこからのクロスによって相手DF陣はボールと人を同時に見ることを難しくさせられるので、非常に効果的ではあります。
同時にしっかりとペナルティエリア内にブロックを作られてしまうと単に跳ね返されてしまいシュートに繋がらない、というマイナスポイントもあります。
なので僕個人的には縦に縦にの攻撃の連続というのは得点の期待値を下げるものだと思っています。

本題に戻しましょう。
ただ高橋諒の2点目が素晴らしいのがその「縦に、縦に」でマッチアップする中村拓に完全に自分の意識を植え付けたことに始まります。
これまでサイドで起点となっていた高橋がダイアゴナル(斜め)にペナルティアーク近辺まで走り込んだことによって、「マッチアップ、マークするのは俺だ」と意識づけられた中村拓も釣られて一緒にポジションを絞ってしまいました。
この動きによりペナルティエリア左サイド(FC東京にとっては右)がガラ空きの状態となり、高橋のポストプレーからそのスペースを見事に使われることとなりました。
このスペースを使われた時点で「詰んだ」と言えるプレーでした。
しかもこの形は湘南にとっては得意の速攻ではありませんでした。
ファイナルサードに入るところから一旦下げ、繋げた状況からミドルパスで高橋に楔のボールが入っています。
要は速攻かつ縦がダメなら中を使ってみよう、更にはダイアゴナルに中に入ってプレーしてみよう、その高橋の意識が非常に美しい崩しを生みゴールへと繋がりました。

湘南にとってもFC東京にとってもこのダイアゴナルに動いて相手を撹乱させながらパスを引き出す。
それによって空いたスペースを使って崩し切る、つまりは不均衡を生み出すという意味で今後に繋がる非常に重要なプレーだったと思います。
この試合で生まれた5点の中で最も美しいゴールだったと思います。

あとは客観的に欲を言えば、FC東京の同点弾の場面、渡邊凌のシュートに対してGKの谷にはしっかりと倒れてセーブをして欲しかったですね。
DFがブラインドになった可能性はありますが、手でセーブに行くことで不用意なところにボールがこぼれることとなってしまいました。
まだまだ若いGKですし、ミスをしない選手はいませんので、あのプレーを振り返って日本代表への道を歩んで欲しいと思います。

東京 - 別の選手、別のサッカー

個人的にはシーズン序盤にローテーションを重ねてチーム全体のコンディションをあげる、という作戦には異論はありません。
次元の違う話になりますが、僕はFootball Managerというサッカーシュミレーションゲームが昔から好きでして、好きなチーム(大体ラツィオからリーズ)の監督になっては移籍市場での選手獲得から戦術までを懸命に考えてゲーム内でのシーズンを過ごします。
この場合においても、チームを構成する際には「この選手が怪我でダメならこの選手。それでは弱いからここは補強をしよう。」とか「この選手は決定力は高いけどスタミナがないので、この選手と後半に交代させるまたは逆を基本にしよう」とかを考えるわけです。
このゲームには選手のコンディションやマッチシェイプ(試合に臨むだけの力)があるか、などのパラメーターがかなり細かく設定されていますので、そう考えルトやっぱり試合の中で出来る限り多くの選手を使いながら一試合でも早く全体のコンディショニングを向上させよう、という思考になります。

ゲームとリアルじゃちげーだろうがよ、と思われるとは思いますが、やっぱり相手があって勝ちたい、それが38とか34とか試合を重ねて優勝を取りに行く、ロングスパンで考えると早期のローテーションによるコンディショニング工場というのは理解をできますし、むしろ同意です。

しかしながら僕が冒頭に述べたように「まあまあ酷いよね」と感じたのは、前節大分戦と比較してです。
前節はインサイドハーフに三田と安部を起用して臨みましたが、この二人が豊富な運動量を武器に相手陣内高い位置でのプレスの原動力になっていました。
それと同期を取るようにディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、渡邊凌が連動してハイプレスをかける姿は「ああ、そうそう。FC東京のサッカーってこういうスタイルだよね。」と思えるものでした。
それがメンバーが変わると全く異質のサッカーとなってしまい、田川、ディエゴ、渡邊の3人がフォアチェックに行っても後ろが全く連動をしない上に、DFラインが押し上げてこないため全体が間延びして中盤にスペースが生まれてしまっていました。
そこに入るルーズボールを湘南に拾われては主導権を渡すというのが前半の大まかな流れだったと思います。
意図して相手にボールを持たせてサイドに追い出して絡め取る、ということが意図されたポゼッション放棄であれば納得もできます。
ただ、この日のFC東京の試合への入り方は「失点しないようにしよう」という守備陣と「いつものサッカーをしよう」という先述の3選手との意識の乖離が見えるものでした。
これを感じた段階で僕は「選手が変わるとサッカーが違うってのは、ローテーション云々以前の問題じゃないか?」と思ってしまうのです。
これは大分戦後半の選手交代後に全く違ったサッカーになってしまったことにも繋がります。

ディエゴ、田川、渡邊凌の頑張りを中心に勝利することができた試合だったので、ローテーション、コンディショニングを重視した中で結果としては良かったと思います。
ただ、それとやるサッカーが異なるというのはまた別の次元の話です。
このポイントをコンディショニングと共に統一させていかないと、結局起用する選手によってサッカーがまちまちになってしまい、個人の技量で勝てるか勝てないか、というこれまでのFC東京の「ブラジル人よろしく!行ってきて!」から脱することはできないでしょう。

そして先述したように、この日湘南の高橋諒に喰らった同点弾のような形をワイドの選手がつくり、そこにインサイドハーフの選手が絡んでいければ、得点60という目標も絵空事にはならないでしょう。
ただ、コンディショニングを進めながらもこの日の前半のような試合をしていると、他のチームだってコンディションは同様に上がるんです。
どうなるかは自ずと分かることかと・・・。

4月3日に何が観れるのか

3月21日には仙台戦が行われます。
調子の上がってこない仙台に対してはFC東京は勝利を期待されるでしょう。
ただ、ここまでの5試合を見る限り、長谷川監督はここまではこれまでのスタイルを崩さずにローテーションで臨むものと思われます。
それはこの試合後のインタビューでの「次の試合で厳しい連戦も終わります。」という言葉からも覗くことができます。

それを前提と考えると、厳しい連戦が終わった後の4月2日アウェイ名古屋戦から本腰を入れ流、つまりは今シーズンを戦っていくスターティングメンバーが誰なのかが姿を表すものと予想します。
前線はディエゴ、レアンドロが当確だとすると、残り1枚を渡邊、田川、アダイウトンで争うのでしょう。
中盤は長谷川監督の諸々のコメントから森重のアンカー起用はどうやら大前提として、安部は当確。
残り1枚を東と三田、シルヴァで争う形か。
最終ラインは渡辺剛とオマリを中心にしながら、蓮川、岡崎、まだ見ぬウヴィニの争い。
サイドバックは代表選出された小川が一歩リード。W中村の争いもあるでしょうし、蓮川、岡崎の可能性も残るかと思います。

いずれにせよこのローテーションでコンディショニングを高めたチームが2週間弱の期間でどこまで研ぎ澄まされるのか。
3月28日のルヴァンカップも一つの材料として使うことを考えると、今季のFC東京の真価を問うのは4月3日豊田スタジアムと言っていいのではないかと思います。

あと2週間以上あると考えるか、あと2週間ちょっとしかないと考えるか。

Match Review 2021.3.14 大分トリニータ vs FC東京

目的がなんだったのか

ネット上で観れる限り東京サポーターのこの試合に関する感想を拝見すると、
「交代策がバランスを崩した」
という意見が大半ですね。
僕も同じ感想です。
失点シーンの直接原因はこれとは別ですが、その一方でこの交代策によって大分がボールを運ぶことができるようになり、その直接原因の根本原因ともなるコーナーキックに繋がったということは言えると思います。

この交代策の目的がなんだったのか。
こればっかりはFC東京の長谷川監督が言う「中盤でのビルドアップをしたかった」とのコメントを額面通りには受け取れないと思いました。
こう対策の目的を考えると、「アウェイで勝点1を取れた」という言葉の方が説得力を持つのかもしれません。

ダブルミーニングというか裏の裏は表という考え方もあるのかもしれません。

大分 - 自陣でのボール扱いが巧い!

FC東京の交代策で自ら組み立てたバランスを崩すまでは、大分は耐え忍ぶ時間であったと思います。
ただ、そんな中でも「大分はどう守って攻撃に繋げるのだろう」とぼやっと見ていると普通にカウンターサッカー、ボールを奪うと自陣からボカンと蹴っ飛ばしているように感じました。
ただそのカウンターに至るまでの過程を見ると、自陣でボールを持った時の動かし方と扱いが凄く上手いんです。
FC東京の前線が激しくハイプレスをかけてもボールロストする機会が非常に少ない。ロストするにしても、ミッドサード=中盤に近いところでの繋ぎでロストするケースが多いように感じました。
言い換えるとこの自陣でのボールの動かし方の巧さ、というのはカウンターのみならず相手がリトリートして遅攻になった際にもきっちりとビルドアップすることが出来るという利点にも繋がります。

この点を踏まえて考えると、片野坂監督がシニシャ・ミハイロビッチ札幌監督の下で知見を積み、攻守での可変システムを踏まえながらも独自の守備からサッカーを計算するというサッカーを生み出したのだろう、ということが分かります。
単純なカウンターのように見えても3-4-3システムの前3枚にプラスして中盤も必ず2枚が入り込んでいって迫力のある攻撃を構成していました。
この可変性はミシャ式を踏まえながらも、予算と戦力に限りあるチームにおいて非常に効率的な独自の形を編み出したんだな、というように考えると大分のサッカーが非常に興味深いものになりました。

自陣でのボール扱いが上手い、ということを後付けで検証してみると、この試合における大分のボールロスト回数は96回。
自陣でのボールロスト回数は22回(22.9%)での残るボールロストは中盤で47.9%、相手陣内で27%ということも見ても、大分がいかに自陣内でボールを失う確率を減じようとしていたか、ということが分かります。
自陣で失う確率が低ければ、その分失点に繋がる可能性も減らすことができます。
逆の立場から見るとFC東京の大分陣内でのボールロストは全111回のうち69回(62.1%)。
これだけ自陣ないでしっかりとボールを失わせていれば、守備陣としては押し込まれていてもしっかりと仕事をした、と言えるでしょう。

片野坂監督の力量はガンバ時代のヘッドコーチとしての役割を見ても明らかです。
2016年のJ3での監督就任から3年でJ1昇格を果たし、2019、2020としっかりとチームを残留させた手腕は恐らく日本でも最高峰といえます。
その証拠が2019年のJ1最優秀監督賞ですし、その前年もJ2最優秀督賞を受賞していることでもあります。
大分は目標とする一桁順位に向かってまだまだ困難があるかと思います。
ただ、そんな時でも片野坂監督を信じ、自陣で無用なボールロストをしない守備陣を信じることで結果がついてくるサッカーをしていると思います。
とても楽しいサッカーを見ることができました。

東京 - 交代策のダブルミーニング

冒頭にも申し上げた通り、この交代策は勝点2を逃したという観点、勝利を積み重ね優勝戦線に早い段階で浮上したいというFC東京サポーターにとって悪夢のようなものであったと思います。

確かに初先発の青木は派手なプレーはないものの、猟犬の如く常にボールを追ってピッチを走り回る安部、三田の両インサイドハーフの動きを首を振って確認しては空いてしまいそうなスペースをきっちりと埋めていました。
スプリントの回数も目視する限りでは少なかったですし、90分を通して使うべき選手だったと思います。
その青木をアルトゥール・シルヴァに代えるということは同ポジションで交代させるというセオリー的には正しいことではありましたが、いざピッチに入ったアルが安部、三田と同様にボールを追い回してしまい、そのスペースを埋める役割が誰なのかが不明確になったことは東京ベンチにとっては誤算だったのかもしれません。
更なる誤算は「中盤でビルドアップしたかった」という意図があったとしても、サイドで攻守に躍動していた渡辺凌に代えて高萩を入れたことは合点が行きません。
この交代策によって結果として渡辺が見ていた左サイドをアダイウトンが担当することになり、結果としてはアダイウトンから交代したレアンドロが担当しました。
あれだけ安定して相手陣内に進んで行けた4-3-3を壊してまで4-2-3-1?、4-4-2と猫の目のように戦術を切り替えることに意味合いを見つけることは非常に難しいとしか言えません。

とはいえ、この流れを、育成年代ではありますが指導を行っている立場として考えた時に、
「自分のチームが優位に試合を進めているにも関わらず、あえて勝ちを逃してでもやりたいこと」
という視点で考えると、それはチームの相対的なコンディションアップや試合勘の養成に他なりません。
特にJリーグというかFC東京の場合は、その実戦を積むためのJ3からも撤退をしてしまいましたし、タイトなスケジュールの中で練習試合も組めません(育成年代の場合はたくさんの練習試合を組めますし(コロナ禍前ですが)、その中で選手個々の試合勘や度胸を養えます。)
今後の日程を見て行った時に、チームをローテションさせながらどう全体コンディションを上げていくのか、と考えれば起用の少ない高萩のコンディションを少しでも上げておく必要があったのかもしれません。
その点はスターティングメンバーからレギュラー筆頭の渡辺剛、森重を外したことからも推測できます。

こう見てくると長谷川監督の

(髙萩選手を投入した時にシステム変更した意図は?) 「もっとボールを動かしたかったという意図がある。 青木も頑張ってくれてはいたが、よりビルドアップの助けになる選手をいれたかった。 もっとボールを動かして追加点を奪いに行くという狙いで髙萩を入れた」

(アンカーの人選は手探りな部分があるのか?) 「答えは出ている。 連戦で今日は森重を使わなかったことや、品田が今ケガをしているということ。 青木は今シーズン加入をして、まだ完全にチームにフィットしたかと言われるとそうではないと思うので、プレーしながらさらにフィットしていってもらいたい」

というコメントがある種の説得力を持つことになります。
バランスを崩してでもこの先を見据えて(青木に限らず)選手をフィットさせていく、ということがこの日の交代策の目的としてあったのでしょう。

「高萩を入れてボールを動かしたかった」、と言いながらもこの日のパススタッツでは相手選手の間を抜く前方にに向けたパス(プログレッシブパス)は76本と今季最多で、その成功率も81.6%と、勝利したセレッソ戦(総計58本/成功率66.7%)と比較しても格段にボールが動いていたという矛盾もあります。
プロレベルのベンチでこういった状況判断が行われない、ということは有り得ないと思いますので、「苦しいアウェイでも勝点1が取れた」と試合直後に語った長谷川監督からすると、失った勝点2よりもチームのコンディションを上げたい、というのが本音のように思います。

言い換えれば長谷川監督からすれば、
「長いシーズン、中盤から後半にどう勝負するかなんだよ。焦んなよ。」
と伝えたいのかもしれません。

どうしたら勝点3に繋がるのかのヒントがあった

年始までタイトルを争って戦ったFC東京にとっては、キャンプインまでの休みの期間も短かったこともあり、怪我を避けるために強度の高いトレーニングもさほど数をこなしていないのではないかと思います。
その中で戦いながらどう全体のコンディションを上げていくべきか、というポイントは非常に難しい課題でもあります。

その一方でこの試合では得点に向けた鍵を握るディエゴ・オリヴェイラの復調が見えてきましたし、重戦車アダイウトンも変わらず健在です。
短い時間しかプレーができない(のではないか)永井が心配の材料ではありますが、前線の攻撃陣の状態は良い方向に向かっていると思います。
最終ラインも森重、オマリ、渡辺に加えてこの試合で蓮川も十分にやれる力量を見せてくれました。
あとは中盤の構成と、中盤からサイドばかりにパスを出すのではなく縦パスも織り交ぜられるかだと思います。
恐らく高萩の起用はそこを期待した部分もあるでしょう。
結果的に高萩が入る前の方が縦パス(プログレッシブ・パス)が多かったのは確かですが。

とはいえ、この試合を引き分けてサポーターが怒っている(僕もですが)のは、引き分けになったことです。
ただ、ポジティブに考えれば、プログレッシブ・パスが多く演出できたチャンスも多かったことからも、いかに中盤から縦に出すパスを多く出来るかがこのチームの課題であることはわかったのではないかと思います。

森重をアンカーに使うのであれ、青木であれ、まずは中盤の底から繰り出される縦パスの量の増加、及び三田、安部、東といったインサイドハーフからの縦へのパス、これらの増加は絶対的な課題であると思います。

次節湘南戦は走り負けないかどうか、というのがまずはポイントになると思います。
その中で選手のコンディションを優先するのか、勝点3を取りに行くことを重要視するのか。
次節は二つの観点で見ていきたいな、と思います。

ちなみに失点シーンについて申し上げますと、CKの跳ね返りにいち早く反応していたのはアルのみで、DFラインの押し上げ含めて後ろがついていけなかったことによって、大分の坂にフリーでアーリークロスをあげられたことが直接的な要因です。
無論真ん中で胸で落とした伊佐のプレーも素晴らしかったです。

Match Review 2021.3.13 Leeds United vs Chelsea FC

固唾を飲むドロー

チェルシーはトゥヘル監督就任以降9試合m負けなし(6勝3分)、その内クリーンシートは7試合。
ランパード政権時代が一試合当たり1.25の失点だった事を考えると、トゥヘルが就任して守備から改善が成されたという意味では格段の進歩だろう。
リーズ同様にチェルシーも応援する僕からすると、この進歩は驚きと共に安心を与えてくれているし、何よりランパード解任時9位だった事を考えれば、CL出場権獲得目前の状態までチームが浮上したことからも、トゥヘルが就任後に植え付けた強烈な守備の意識には感心と同様に感謝しかないほどの思いだ。
そんなチェルシーを向こうに回して連敗中のリーズがどこまでやれるのか。
今回は時間がなくてすっ飛ばしてしまった当たらない予想では0-2のリーズ負けの単騎勝負!と思っていたが、いやいやどうして。
リーズもチェルシー同様にハードな守備で結果的には0-0のスコアレスドローとなった。

まさに固唾を飲む90分間。
新旧の戦術家同士によるこのドローゲームは何度でも観られると言える好ゲームだった。

豊富な駒を十分に活用するトゥヘル

前節エバートン戦からチェルシーは大幅に選手を入れ替えてこの試合に臨んだ。
最終ラインにはリュディガー、左右のウィングバックにプリシッチとチルウェル、中盤にカンテ、前線はツィエクとマウントを配し、エバートン戦は3-4-3だったフォーメーションを、リーズの4-1-4-1を嵌めこむ意味合いで4-2-3-1にして臨んだ。

とはいえ、両翼のプリシッチととチルウェルのポジショニングによってはこの並びも3-4-3(3-4-2-1)のような形となり、この流動性がリーズを押し込む形になり試合は進行。
前半は完全なるチェルシーペースで試合が進んでいった。
特に守備力も高いチルウェルを攻撃的に使うことで、リーズの右ウィングでキーマンともなるラフィーニャを自陣深くに押し込み、ラフィーニャを起点にカウンターを仕掛けようとしてもチルウェルがリーズ陣内で即時に対応して奪い返す、というゲームプランは非常に良く練られている上に、それを事もなげに対応するチルウェルの戦術理解度と対応力の高さはこのゲームのハイライトの一つと言っても良いものだった。
更には中盤の底でボールウィニングを主たる目的としてプレーするカンテも頻繁に攻撃参加することで、リーズ守備陣に対して数的優位な場面を構築。
運動量豊富なカンテに対応するためにリーズはダラスをマークに付けて縦横無尽に走らせることで対応。
これによりリーズの攻守交替のスイッチを奪い、より相手陣内でボールを握るという効率的かつ絶対的なサッカーを展開。
ダイナミックなゴール前への雪崩込み、技巧的なビルドアップと新チェルシーの魅力とトゥヘルがやりたいサッカーが全部入りだった前半とも言える。

しかしこの前半に得点を奪えなかったことがチェルシーにとっては勝点2を逃すことに繋がったとも言える。
特に7分、リーズ陣内でボールを奪い右サイドのプリシッチ、ゴール前へのハフェルツへと繋いだ決定機を逸した場面を初め、リーズDF陣の体を張ったディフェンスを掻い潜ることが出来なかったのが痛かった。

この試合前まではトゥヘル就任後のチェルシーは1.78本/試合でしか枠内シュートを許していなかったが、この試合ではリーズに4本を許している。
その点から鑑みると、本来はがっちりと守りボールポゼッションを上げてゴールに襲いかかるというゲームプランだったものが、想定を上回るリーズの逆襲で可変システムで嵌めに行ったシステムが守備的にならざるを得なかった、という事も言えるだろう。

いずれにせよ堅牢なDFを構築したチェルシー、今後豪華攻撃陣をどのように組み立てていくのかによってこういった試合でも相手守備陣の壁に穴を開けることができるようになるだろう。

Murderballの結実

「これだけのハイプレスをしていると後半にどう響いてくるか」
リーズのようなハイプレスかつマンマーキングで相手を追い回す守備をしているチームだとどうしても解説者からこういったコメントが出てくる。
事実リーズファンとして今シーズン全ての試合を観ている僕としても、この試合でのリーズの運動量は不安になるばかりだった。

しかしこの不安はまさに杞憂に終わった。
恐らくチェルシーファンの目線から見ても、この日のリーズの選手達の運動量は「どこまでついてくるんだよ!」を忌々しく思うほどのレベルだっただろう。

リーズ=ビエルサの練習というのは非常に特徴的と言われる。
よく言われるのはポゼッションの練習は全くせず、ピッチを細かく区切ってどこからどこまで動くのか、相手についた場合はどこまで付いていくのか、ムーブメントの練習が大半だという。
しかもそれを最大のスピードで最大の強度で行うという”Murderball”と言われる練習セッションだという。
それだけの練習をこなせば、自ずと心肺機能は向上しスタミナが補完されることとなる。
このMurderballの結果がこの日のリーズの運動量に結実したとも言えるだろう。

運動量という観点で特に目を引いたのは中盤に起用されたダラス。
元々はサイドバックを主戦場として左サイドのアップダウンを特徴とした選手だが、中盤もこなせるだけの器用さも持っている。
それだけにMurderballの結実の代表例とも言えるように、この試合でもカンテのマーク役としてピッチを左右にカンテをどこまでもつけ狙った。
その分いつもの攻守のスイッチ役を担う、という観点での仕事が不足してしまうこととなったが、当日のプレイゾーンを確認してもホットゾーンが存在しない、という点ではダラスがいかに縦横無尽にカンテを追い回したかが良くわかる。

同様に目立たなかったが左サイドのアリオスキも試合の間足を止めることがなかった。
普段は積極的なオーバーラップで左サイドを駆け上がる10番を背負うこの左サイドバックも、プリシッチを向こうに回して自陣に釘付けにされるケースが多かった。

アディショナルタイムも含めて94分という試合時間、リーズの選手は守備に奔走しつつも、数少ないトランジションでも前線を目指してスプリントを繰り返し、ボールロストすればリトリートすべく全力疾走。
人によっては部活サッカーなどと昔懐かしい言葉で揶揄するかもしれないが、リーズの戦術を凌駕するためにトゥヘルが用意した作戦を人海戦術という戦術で乗り切った、という点でもMurderballの結果がまた新たな魅力を見せた試合だったとも捉えられる。

この引き分けを転換点と出来るのか。
全く異質の相手となる次節フルハム戦でどんなMurderballを見せることができるのか。

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得点

得点

In/OutPos.LeedsChelseaPos.In/Out
GKイラン・メリエエドゥアール・メンディGK
LBエズジャン・アリオスキベンジャミン・チルウェルLB
CBパスカル・ストライクアンドレアス・クリステンセンCB
CBディエゴ・ジョレンテアントニオ・リュディガーCB
RBルーク・エイリングセサル・アスピリクエタRB
DMカルヴィン・フィリップスジョルジーニョDM
LMラフィーニャエンゴロ・カンテDM
CMスチュアート・ダラスメイソン・マウントLAMOut(79')
CMタイラー・ロバーツハキム・ジエシュCAMOut(69')
Out(64')RMジャック・ハリソンクリスティアン・プリシッチRAMOut(68')
Out(35')CFパトリック・バンフォードカイ・ハヴェルツCF
SubSub
GKキコ・カシージャケパ・アリサバラガGK
DFロビン・コッホリース・ジェームズDFIn(68')
DFガエタノ・ベラルディマルコス・アロンソDF
In(79')MFマテウシュ・クリッヒクルト・ズマDF
MFジェイミー・シャクルトンエメルソン・ドス・サントスDF
MFジャック・ジェンキンスマテオ・コヴァチッチMF
In(64')MFエウデル・コスタティモ・ヴェルナーFWIn(69')
In(35')
Out(79')
FFロドリゴカラム・ハドソン・オドイFWIn(79')
FWイアン・ポヴェダオリビエ・ジルーFW

Match Review 2021.3.10 FC東京 vs ヴィッセル神戸

不思議な試合

業務都合で60分からDAZNで観戦。
東京サイドから見れば失点、得点、得点、失点、と忙しない30分。
夜中にビールとハイボール片手に90分間を通して観戦しましたが、全体を通してみると(負け惜しみではなく)神戸が良かったわけでもないし、FC東京が悪かったわけでもない。
試合後ネット上各所ではフォーメーション、個人のミス、チーム戦術と批判が湧き出していたが、そんな要素というよりも、細かいズレが敗因に思えてならない。
神戸は上手にFC東京のミスを見逃さずに得点したし、FC東京は得点こそ2点だったがチャンスの数は多かった。

このサイトの根幹には「試合を観た人が100人いれば100人の意見がある」なので悲観的な意見を否定する気は毛頭ないが、もう少し違った角度で状況を見ていくこともできるんじゃないかな、と思いました。

神戸 - ハードワークをどこまで継続できるのか

冒頭にも言いましたが、僕個人の感想として神戸がとっても良い試合をした、とは感じられませんでした。

ポゼッションは56.7%とFC東京に比して多かったですが、FC東京自体がポゼッションを重視するチームではないことからも、この数字がそのまま神戸が試合を圧倒したということを表しているわけでもありません。

圧倒的に試合を支配していれば、ボールロスト(ポゼッションの終わりの回数)も相手ゴール前での割合が増えるものですが、神戸がFC東京ゴール前(ファイナル・サード)でロストし回数は全137回のうち42回(30%)で、FC東京のそれ(65/123)と比較すると、どちらのチームが相手ゴールを脅かしていたか、が分かるかと思います。
自ゴールに近いポジションでは37回(27%)のロストを引き起こしていることからしても、全体的には中盤でボールを保持して相手の隙を狙っていた、ということが読めてくるかと思います。

試合全体を通してみると、神戸の大きな強みの一つは山口とサンペールの強度の高い守備ができてボールを繋げる事ができる高い能力を持ったCMFが2人揃っている事でしょう。
そこに稀代のパサーでもあるイニエスタが加われば、より守備から攻撃へのトランジションがスムースとなり、自ずと相手陣内でのボールロスト回数も増えてくることに繋がる=試合を支配できることに繋がるかと思います。
そういった意味では、バルセロナ的なサッカー(ティキ・タカ)と言われるパスを繋いで相手を圧倒するサッカーよりは、この日の神戸は攻守に全員がハードワークしてボールを確保する、ということを目指していたかと思います。
結果的にも走行距離、スプリント回数のいずれもがFC東京を上回っていることからも、チームとしてハードワークを止めない、という事が読み取れます。

イニエスタという中心選手の存在は神戸にとっては試合の内容を左右することにもなります。
いるといないのとでは相手人内に攻め込む工夫も変わってくるし、守備の仕方も変わってきます。
この日の神戸はハードワークから相手のミスにつけ入る形で勝利を手にしましたが、イニエスタが入ればそのハードワークをより強固にしないといけない場面も出てくるでしょう。
新外国人選手含め、バルサ的で魅力的なサッカーが(良くも悪くも)期待される中で、このハードワークを継続させながらどう内容を昇華していくことができるのか。
この辺りがこれからの神戸のチャレンジになってくるのではないかな、と感じた試合でした。

東京 - ミスの積み重ねで3失点

前節セレッソ戦のレビューで、森重のアンカーというのはオプションなのかオプションじゃないのか、ということに触れました。
この日オプションをスターティング戦術として起用したことで、完全にオプションというよりは一つの選択肢としてチーム戦術に組み見込まれた事が理解できました。

色々なこの試合の感想を見ていると「森重のアンカーの両サイドを使われた」という意見を見ますが、実態そこを使われてゴールを奪われることに繋がったシーンというのはなかったと認識しています。
確かに4-3-3のアンカーシステムを採用した場合、アンカーの両サイドはスペースとなりますから、使いやすそうに見えます。
ただ、FC東京の場合は相手陣内またはそれに近いところでボールロストをすると、4-4-2に可変して守備を行いますので、実態として森重の横を使われるというよりは、森重の横に入るべき安部だったり東の戻りが遅い、または釣り出されてしまっているというのが正しい表現になるかと思います。

これを踏まえて考えていくと、失点シーンは全てミスの積み重ねです。

1失点目はクリアに失敗したことですので、中村帆がどうしてあんなキックしちゃったのか、という個人のミスはどうしても避けられないものなので、あまり追求しても意味がないでしょう。
(個人批判をしたいのであれば恰好の材料ですが)

2失点目も同様にミスと言えるのですが、4-4-2で陣形を整えていたにも関わらず、神戸が左サイドでボールを持ってバックパスした瞬間に、中村帆が自分のスペースを空けて食いつきに行ってしまいました。
そのスペースを酒井に使われて失点に繋がります。
このシーンでは、右サイドで守備に入るディエゴ・オリヴェイラの戻りが一瞬遅れ、神戸の2選手との距離が中途半端になっている事がわかります。
しかし、4-4-2で守備のバランスを整えたところで、スプリントしてまで中村帆が食いつきに行く必要性はほとんど皆無で、どちらかといえばディエゴに対して周りが指示をしてボールホルダーに寄せるようにさせる方がよっぽど自然です。
0-1と負けていた状況なので、中村帆としてもなんとかボールを奪い返したいという意図は分かりますが、0-1という僅差の状況下において、ハイリスクに自分の担当エリアを放棄して前に出たこのプレーが試合の出来を左右したと言ってもいいのではないかと思います。
どうしてあの判断に至ったのか、この点は非常に不思議でなりません。

3失点目に関してもそれまでにきちんと対応出来ていたFC東京の守備がずれています。
中盤での激しいボールの奪い合いが82分あたりから連続しプレーが切れる事なく両チームにとって厳しい状況が続きますが、流れは神戸でした。
83分に左サイドで森重がボールロストし神戸ボールとなったところを運動量豊富な安部が止めに入ります。
その後もルーズボールの回収も含めて神戸がボールを握るようになると、84分に神戸が中盤で拾ったボールを左サイドへ展開。
この時、FC東京は中村拓、安部、三田の3人で対応に入り、神戸はトップのドウグラスが顔を出します。
右サイドには選手が二人残っていますので、小川もオマリもボールサイドにはスライドできない状況でした。
これに引っ張られたことにより、渡辺が右に引き摺り出され、渡辺とオマリの間にできた距離を埋めるために森重が最終ラインに入ってしまいました。
(右サイドには神戸の選手が二人残っていましたので、オマリと小川もボールサイドにスライドすることは難しかったかもしれません)
これにより今まで森重が鎮座していたバイタルエリアに広大なスペースが出来てしまいました。
*DAZNで視聴が可能であれば、83分30秒ぐらいから84分08秒ぐらいまでの森重の動きを見てもらえれば分かりやすいです。

この時点では危機的な状況ではありませんが、結果苦し紛れな神戸のクロスの跳ね返しを拾いにきた郷家に対して誰もプレッシャーをかけられずミドルを打たれてしまい、決勝点へと繋がってしまいました。
あれだけサイドで起点を作られても、しっかりと4-4のブロックを作って対応していたにも関わらず、この場面だけ森重がDFラインに吸収されてバイタルを空けてしまったのは非常に悔やまれるポイントです。
恐らく、この試合で神戸がFC東京の守備陣形を唯一ずらしたシーン、と言ってもいいぐらいでしょう。
試合終盤でチーム全体に疲労の色が滲んでいたこともありますが、2-2の状況から勝ちに行くために自ずと前後分断の作戦に出て、スペースを埋められてなかったことに原因は尽きます。
ブラジル人選手であっても、しっかりと自陣まで下がり守備に参加させる規律があれば、事実ディエゴが郷家に気付いて遅れて対応していたことも考えれば、防げた失点と言えます。
この失点は個人というよりも、チーム全体でそのズレに気付くことも解消することもできなかったミスと言えるでしょう。

結果的には神戸のファインプレー

FC東京にとっては今後勝点を積み上げていく中では拾う勝ち点もあるでしょう。
そうやって勝点を積み上げていった結果、優勝という文字が見えてくるものですが、ミスで失った2点を返し、勝点1をすくい上げられそうな状況下で、守備に回らされる時間帯に全体の統率を取ることができなかったことは残念でなりません。

逆を言えば、上記の3つのFC東京のミスにしっかりと付け込んでゴールを奪った神戸が勝者に相応しかったということでしょう。
特に最後のシュートを放った後にもゴール前まで詰め切った郷家の姿勢が完全に勝敗を決したことから考えると、決勝点を挙げたということと同じくらいその姿勢を評価しても良いのではないかと思います。

FC東京は強力な攻撃力を有することで、前線で得点の問題を解決することができるのが強みです。
しかし、守備面が疎かになれば攻撃における破壊力が持つ意味合いも半減します。
攻撃に戦術的意図を持たせないのであれば、守備時には通常以上の戦術性と規律を持たせて当たらなければならないでしょう。
その意味でも、今一度守備時の役割とパターンをブラジル人選手も含めて整理してもらえたらと思います。

Marcelo Bielsa Post Match Press Conference – West Ham United vs Leeds United

60分は良かったが、30分が悪かった

先制されて厳しい試合となったウェストハム戦。後半に渡って総攻撃を仕掛けたが、前半に悪い時間帯を続けてしまったことを振り返ったビエルサの試合後記者会見。
いつも通りチームの悪い部分を示すのではなく、試合全体をどう捉えるのかという授業のような記者会見。
悪かった30分の間にウェストハム攻撃陣に自由を与えてしまったことが敗因とコメントしました。
Leeds Liveのプレスカンファレンス記事を拙訳)

ウェストハムが良いサッカーをしたというわけではなく、リーズが勝利をプレゼントしてしまったということについてどのように思われますか?

前半最初の15分間は我々が試合をしてきた中で最も良いプレーをしたと思う。よく守りよく攻めた。
前半の最後の30分、上手く守る事ができず、守備をしていない時には上手く攻めることができなかった。
後半は全体に渡ってよく攻め、よく守った。
前半と後半に渡って60分間は良いサッカーをしたと思う。彼ら(ウェストハム)が攻めてきた30分の間、彼らは危険なシーンを作り上げなんとか2得点した。
あなたが前後半を比較するのであれば、彼らの30分間に比べて我々は60分間を支配した。我々は上手く守るべきチームだ。なぜならば我々はバランス、平衡感覚を失ったのだから。

つまりは、監督にとっては何かを得られる価値のある試合だったという事でしょうか?

今、私が説明した中に答えがある。後半我々は試合を支配していたし、前半開始時点で得点をするべきだった。
30分後、ウェストハムを無力化することは難しかったが、全般的に試合を見ればなんらかのものを得られるべき試合だったと思う。

今日の試合にパブロ・エルナンデス、パスカル・ストライク、キコ・カシージャを怪我で加える事ができなかったことについて説明いただけますか?

エルナンデスは筋肉にちょっとした問題があった。ストライクはさしたる問題ではない怪我だが、この試合には出られなかった。カシージャについては、私がカプリーレをベンチに決めたからであって、怪我ではない。

最初の15分後にチームが守備を怠ったことについて説明してください。何をしなかったのでしょうか?

(ウェストハムの)フォワードを捉まえる事ができなかった。彼らの元にきっちりと詰める事ができなかった。
彼らのアタッカーはスペースではなく足元でボールを受ける。我々は彼らを捉まえようとはしていた。
試合の中で1時間はきちんと捉まえられていたが、最初の30分は詰めきれなかった。ターンさせないように出来なかったんだ。
彼らを一旦(ゴール方向に)振り向かせてしまうと、コンビネーションを使って攻められてしまい、それを防ぐ事ができなかった。
試合を振り返ってみると、ウェストハムの攻撃陣は一旦試合の調子に乗らせてしまうと、非常に強度が高く攻撃的で我々のバランスを崩すチームだった。
ただ、その30分間のような難しい時間を過ごさなかった60分間があっただけに、あなたに説得力のある答えをする事ができない。
なぜならば、我々がファイナルサードでボールを失えばその分守備は楽になる。
我々が相手のファイナルサードに入る前にボールを失えば、我々のバランスは崩れてしまう。
私が説明したことは、60分間のうちでは解決されていただろう。

スターティングメンバーに代えて投入した選手に何を期待していましたか?

ダラスをクリヒに代えて中盤に、アリオスキをダラスに代えて左サイドバックに入れた。ハリソンはエウデル(コスタ)、ロドリゴはタイラー・ロバーツと代えた。
彼らは同様の個性を持った選手だ。それぞれの個性を持った。アリオスキが左サイドにいることで外で起点を作る事ができるようになり、ペナルティエリアにクロスを入れられるようになった。タイラーは悪くなかった。彼のいい時のようにプレーできていたと思う。
タイラーとは違った何かをロドリゴからは30分で引き出せると思う。

ダラスを中盤に入れたのは、彼には試合に必要だった強度があるからで、それがこの試合に必要だった。ソーチェクとライスに対して試合全体を通してチャレンジし、挑み続けることは難しい。
相手に対してチームとしての質を保つためには、ロドリゴ、タイラー、ダラス、クリヒの間で時間を配分する事が必要だったと考えている。

Match Review 2021.3.9 West Ham United vs Leeds United

似た者同士の異質なサッカー

一部ネット上では、ビエルサもモイーズも一流の監督として評価され難い。
それはどちらの監督もいわゆる一流と言われるチームで結果を伴っていないからだろう。
モイーズはマンチェスターユナイテッドで、ビエルサはアルゼンチン代表で。

とはいえ、両者ともに1.5流〜2流ぐらいのチームを率いさせると、世の中をびっくりさせるような結果を出す。
恐らくは両者共にチームに求める規律(ディシプリン)が非常に強く、その強度がチームから自由度を与えられるようなスーパースターには耐え難いものであり、全体的なチームのバランスが崩れてしまうのではないかと思われる。

そう考えると、二人の監督は非常に似たタイプであり、その似たタイプが全く違ったサッカーを志向するもんだなぁ。
90分を通して試合を観ながらそんなことを考えていた。

役割分担が明確なハマーズ

当たらない試合予想ではリーズが先制点を取られないこと、それからハマーズのダブルボランチに注目と述べた。
ある意味では展開と注目ポイントについては当たっていたのではないかと、結果が当たってもいないのに自画自賛するのだけど、ハマーズの守備戦術はなるほど上位には破られるが下位には破るには難しい守備だな、と感じた試合だった。

ウェストハムは守備時はDF4枚+中盤2枚がしっかりとブロックを作って相手の攻撃を遅れさせ、そこに遅れてトップ3枚のうち2枚が下がって最大8枚+GK1枚で守るのが基本。
試合を通して選手交代を行なってもこの基本が変わることはなかった。

DF4枚は横の並びを崩すことなくペナルティエリアの幅で守備をし、サイドについてはワイドのMFが下がりながらスペースを埋めて、中盤2枚と連携する形での守備は、コンパクトに陣形を形作るというよりは、いかにゴール前を固めるかという思想からによるもので、非常に強固な守備網を簡単に構築できる。
その一方できちんと勝点を重ねていくためには、ボールを奪われた際の帰陣の速さと、高い位置からプレスをかけて最悪でも中盤の底でボールを奪い切るという、ハイプレスな戦術も求められる。
ウェストハムというチームは、このハイプレスの部分でも非常に規律の取れたチームだ。

攻撃ではボールを奪うと前に残った3人に早く繋げて、その3人の個人力でゴール前まで運んでフィニッシュまで持っていくカウンター型。
守備と攻撃で役割を完全に明確にしながら、チームとしてはハイプレスをかけて、なるべく相手を自由にさせないという戦術は、高い技術力で2、3枚の守備陣を剥がしてしまうような選手が複数いるトップチームには破られやすいが、それだけの高い技術力を持った選手が複数いないチーム(=この日のリーズのようにラフィーニャしかいなチーム)に対しては、十分に対応できる力を持っている。
そのため上位には敗れても下位には敗れない、という中堅チームとしては必要十分な力量を備えているのがウェストハムと言えるのかもしれない。

前後の役割をしっかりと分担しながら、というと前後分断サッカーのように思われるが、自陣でボールを奪って攻撃に転じる際には、しっかりとフォルナルスやベンラーマが中盤まで下がってきて、攻守の繋ぎの役割を行う。
そのような中に動いてボールを受けられるリンガードが加入したことで、速攻のみならず遅行になった際でも繋ぎ切ってシュートを打って終わるところまで持って行けるようになったのは大きなポイントだろう。

モイーズがエバートンを率いた終盤、選手の入れ替わりはありながらもリーグ中堅としてのポジションを獲得していた時代、そんな安定感を持つチームに生まれ変わりそうな予感を感じる試合だった。

求むBox To Box MF

前節アストンヴィラ戦では「試合に不均衡を作れる選手が不足」としたが、この試合でも新たに不足が目についてしまった。

この試合では中心選手となるフィリップスが怪我から復帰し、中盤の安定感を取り戻したかに思われたが、怪我明けから騙し騙しで使ってきたクリヒの代役が必要な状況となってきた。
これまではアンカーにストライクを使ってみたり、4-1-4-1を4-4-1-1とフォーメーションを変えてなんとか乗り越えてきたが、フィリップスが復帰したこの試合では4-1-4-1でフィリップスをアンカーに据えた。
しかし、フィリップスがサイドに寄った際に、昨シーズン同様その空いたスペースをカバーするクリヒの帰陣が遅れてしまい、この日はベンラーマやフォルナルスに上手くそこを突かれてしまっていた。
クリ自身も腰の怪我で欠場後、復帰してからは交代するケースが多くなっており、年齢的にも怪我の影響からの復帰が遅れてしまう状況にもあるのだろう。
自陣から相手陣内まで、いわゆるBox To Box MFとして激しく動き回るダイナモの不調はチームの不調にもリンクしてしまっている。
フィリップスが復帰すれば万事OK、と言えるほどアマイリーグでもないため、このBox To Boxのポジションを誰が補えるのか、ここが今後のリーズのポイントにもなってくる。
事実、クリヒに替えて左サイドバックのダラスを中盤に持ってくると、前半とは打って変わってボールも人も動くリーズらしいサッカーが展開された。

結果としてはハマーズ最終ラインの組織的な守備を突破することができずに0-2の敗戦となってしまったのは、前節に見えたラフィーニャ以外の違いを産める選手と、クリヒの不調を補える選手の不足と言えるだろう。
限られた予算でのプレミア復帰初年度だけに、いきなり理想が叶うわけでもない。
この週末に行われる次節も調子を取り戻したチェルシー相手だけに敗戦の公算が高いが、まずはこの連敗から1日でも早く脱してしっかりと残留を決め、来期に向けた動きを取れるようにすることが大事になってくる。

とはいえ、ポジティブな話題がないわけではない。
この試合ではロドリゴが怪我から復帰し30分プレー。
相手バイタルでボールを受けたりと、「差を生むプレー」をいくつか見せてくれた。
ポストになる選手がバンフォードしかいなく、どうしても厳しいマークを受けて孤立するシーンが多くなっていたが、ロドリゴが入ることで起点が複数にすることができる。
守備面ではエイリングの疲労が心配な中で、ベラルディが長い怪我から復帰しバックアッパーが揃ってきた。
ラフィーニャも相変わらずの好調ぶりを見せており、厳しい相手となるチェルシー戦を前に好材料が揃ってきている。

コッホももうすぐ復帰できると言われているだけに、シーズン後半に向けて万全の布陣で残留とトップハーフの目標に邁進してもらいたい。

ファンとしては贅沢は言えない。
今は我慢の時だ。

2

0

得点

ジェシー・リンガード(21′)

クレイグ・ドーソン(28′)

得点

In/OutPos.WolverhamptonLeeds UnitedPos.In/Out
GKウカシュ・ファビアンスキイラン・メリエGK
LBアーロン・クレスウェルスチュアート・ダラスLB
CBイッサ・ディオップリアム・クーパーCB
CBクレイグ・ドーソンディエゴ・ジョレンテCB
RBウラディミル・コーファルルーク・エイリングRB
DMデクラン・ライスカルヴィン・フィリップスDM
DMトマシュ・ソウチェクエウデル・コスタLMOut(46')
Out(73')LAMモハメド・ベンラーママテウシュ・クリヒCMOut(46')
Out(87')CAMジェシー・リンガードタイラー・ロバーツCMOut(60')
RAMパブロ・フォルナルスラフィーニャRM
CFマイケル・アントニオパトリック・バンフォードCF
SubSub
GKデイヴィッド・マルティンエリア・カプリーレGK
GKネイサン・トロットリーフ・デイビスDF
DFファビアン・バルブエナガエタノ・ベラルディDF
In(87')MFベン・ジョンソンナイアル・ハギンスDF
MFマヌエル・ランツィーニエズジャン・アリオスキDFIn(46')
MFマーク・ノーブルジャック・ジェンキンスMF
MFアデミボ・オトゥベコジャック・ハリソンMFIn(46')
In(73')FWジャロッド・ボーウェンロドリゴFWIn(60')
イアン・ポヴェダFW

Match Prediction / Premier West Ham United vs Leeds United

Footballic Match Preview

Premier League ウェストハムユナイテッドvsリーズユナイテッド

前節のウェストハム戦は「勝てる要素がない」と結果だけは当たったものの得点まで当たるには至らず。
簡単に当てられたら今頃大金持ちになる可能性があるわけで、当たらないからこそ面白いし、予測と実際の試合での差分を目にして、新たなサッカー観が得られると考えると、こういうことをやっているのは自分のためには無駄ではないかな。と思います。

前節から9日間あると余裕しゃくしゃくでいたらあっという間に試合当日。
かいつまんで予想します。

出張がリーズ贔屓の当サイトが、なるべく平たく試合を予想していきます。

データ、ここ最近の両チームの調子などを見ながら、当日の予想を展開します。

振り返り

前回の両者対戦は昨年末12月10日、エランドロードの試合。
リーズが圧倒的にポゼッションをするも、効果的な攻撃からウェストハムが2ゴールを決め1-2でウェストハムが勝利。
選手個々の技術力とプレミアでの経験値の差が出た試合でした

ウェストハムは年明け以降上位陣にこそ敗れていますが、中堅以降のチームには負けなしで現在7位。
一方のリーズは相変わらず出入りの激しい試合が続き、目標でもあるトップハーフ陥落の11位。
今節もトップハーフに向けた戦いとなります。

予想

直近のリーグ戦5試合を比較してみると、
 ・ウェストハム:WDWWL
    ・リーズ:WLLWL

ウェストハムの強みはトップハーフアンダーのチームからは確実に勝点を獲得できるしないところだろう。
前節も堅守の首位マンチェスター・シティと好ゲームを展開しながらもサイドを崩されて決勝点を奪われてしまいました。
とはいえ失点シーンでもしっかりとゴール前の人数は揃っていましたので、シュートに対しての寄せを早くということが90分継続出来ればかなり手強いです。
失点平均もリーグ戦で1.19、ホームでは1.15ということで、ホームでより手強い相手ということがわかります。

一方のリーズは大味な試合が多く、失点平均はリーグ戦で1.69、アウェイでは2.08。
得点はウェストハムのリーグ平均/ホーム平均は1.54/1.62、リーズは1.65/1.85。

前節のアストンヴィラ戦同様、両チームともに失点する可能性が高いのが今節と見ます。

データを見ていくと、ウェストハムの得点の60%は後半と偏っており、その内の半数は75分〜90分となっています。
一方のリーズは0-15分の得点が19%で、70%が後半となってこちらも偏っています。

失点に関してはウェストハムの失点の半数以上が61分以降となっており、リーズは半数近い43%が0-30分となっています。

これらから見ると、リーズが優勢に試合を運ぶには前半30分まで持ち堪えられ、かつ先制点を早い時間に取れることが条件になりそうです。
逆を言えば前半30分までの攻防がこの試合の趨勢を決することになるかもしれません。

で予想と言うと・・・

◎本命:2-2 ドロー
○対抗:2-1 ウェストハム勝利
▲大穴:1-2 リーズ勝利

いずれにせよ、追う形のゲームになるとリーズの迫力は増しますが、ウェストハムを逆転するまでは厳しいのではないかと思います。

観戦ポイント

リーズは最終ラインにジョレンテが戻ってきてからは守備がだいぶんと安定しました。
今節フィリップスが戻って来れれば、ジョレンテとフィリップス、自陣深いところからのビルドアップの起点がふたつできるようになりますので、攻撃へのトランジションでもかなりの安定が見込まれます。
しかしながら、フィリップスの怪我が完調なのか、と言う点については細かな情報がない上に、この週末のU23の試合に出てもいないため、この試合で出場させるのか、という点が攻守において大きなポイントになりそうです。

ウェストハムは相手なりに採用フォーメーションも変えて臨んできますが、不動なのはライスとソウチェクの2セントラルMFです。
攻撃において彼らがパスの起点になる、というよりは守備面でのクレバーさが光るコンビという印象です。
両者がバランスをとって中盤の左右をしっかりとカバーし合う形で中盤でのフィルターとして機能します。
最終ラインの構成が3枚であろうが4枚であろうがこの二人の組み合わせは盤石なので、いかにしてこの中盤のフィルターをかい潜れるかがポイントになりそうです。
攻撃面ではこの冬補強したリンガードが5試合3得点としっかり結果を残しており、持ち前の運動量で攻守両面で大きく貢献しています。
4-4-2の使い手として評されることが多いモイーズ監督ですが、ここ最近は3-5-2でしっかりと守って速攻で相手を陥れる堅守速攻型で結果を出しているだけに、この試合も守備からしっかりと入ったサッカーを展開するものと思われます。

ウェストハムのバイタルでライス、ソウチェクのポジションをずらすような動きをバンフォード、ロバーツが取れるのか。
そこにクリヒやラフィーニャが入ってボールを受けられるのか。
中盤の駆け引きが注目ポイントになりそうですが、リトリートの速いウェストハムだけに、守備を整える前にどれだけ早く展開ができるのか、という点も注目になりそうです。
その点では、リーズ側の視点ではフィリップスの出場可否と出来如何で流れが大きく変わりそうです。