手の内を理解し合った対戦
業務多忙とウィークデーにJリーグがあると、予想も試合前記者会見もサボらざるを得ない・・・。
しかもロードレースも好きなので、ミラノ=サンレモも観たい・・・。
だからと言ってレビューもサボっては意味がないので、ミラノ=サンレモを観ながらの「ながら仕事」ではあるけど頑張ろう・・・。
前節チェルシー相手にサッカーオタク垂涎とも言える高品質なドローゲームを展開したリーズ。
今節は今シーズン共にチャンピオンシップから昇格したフルハムとの対戦となった。
言うなれば昨シーズンもチャンピオンシップで昇格を争ったチームでもあるため、お互い手の内を理解しあった対戦だった。
その戦いは両者とも非常に似通った試合内容となり、両者共にDFラインからビルドアップして前線に眺めのボールを入れて起点を作る、というカウンターの撃ち合いとなった。
リーズにとってみれば前節がプレミアチーム同士の削り合いであるとするならば、今節はチャンピオンシップのような、悪く言えばゲーム内容としては品質の悪い殴り合いとなった。
スロースタートが悔やまれるフルハム
フルハムとってみればVARが採用されたことによって2度救われたと言えるかもしれない。
8分にタイラー・ロバーツに左サイドを破られてエイリングのプレミア初ゴール、と思われたゴールがオフサイド(ロバーツの頭がオフサイドラインを出ていた)で取り消され、その後も19分のラフィーニャのゴールも取り消された(これはVARというよりも目で見ても明らかだったが)。
この20分の間全くスイッチを入れられなかったことがフルハムにとっては敗戦に繋がったと言えるだろう。
その上、20分のコーナーキックから英語コメンタリーが「ピンボールのゴール前!」と評したゴール前の競り合いから振り向き様にマジャが放ったボレーをリーズGKメリエに片手で弾かれたことで、流れを引き寄せることができなかった。
その直後にスローインで気が抜けたところからハリソン→バンフォードと繋がれて失点をしたことから考えると、スロースタートだったが故にみすみすリーズに主導権を渡してしまったと言わざるを得ない。
総体的に見ればこの試合はフルハムが勝ってもおかしくない試合だった。
DFラインからしっかりと組み立てながら、ミッドサードの高い位置でアンギサが起点を作り、カバレイロ、ルックマンというハードワーカーを使って攻撃を組み立てるシーンが多かった。
ドリブルで崩したり、スルーパスで決定機を演出するわけではないが、ハードワークから高い位置でボールを奪って手間をかけずにゴール前に繋げよう、という姿勢は冒頭にも言ったようにリーズのそれと非常に似たサッカーになっていた。
とは言え、リーズと決定的に違うのは、DFから丁寧に組み立てるという点だった。
このポイントが勝負の分かれ目になったとも言える。
この試合の決勝点となったリーズの2点目は、中盤でしっかりとパスを繋げようとした結果リーズのフィリップスにボールを奪われてしまった。
直近でリバプール、マンチェスター・シティという格上と戦ったことでポゼッション出来ずにカウンター狙いで行かざるを得なかった試合を展開していた中で、ポゼッションを重要視するわけではないリーズと相対したことで必然的に「持てる」状況になってしまったこともあるだろう。
持てるが故にボールホルダーに対して激しくプレスをかけるリーズにとっては格好の的となってしまったと言える。
降格争いから少しでも頭を抜け出したいフルハムにとっては最低でも勝点1を獲得したかった試合だっただろう。
相手が昨年チャンピオンシップで昇格に向けた鎬を削ったリーズであれば尚更、勝点3を取りたかったという思いもあっただろう。
その相手を向こうに回して、普段と違うこと=ポゼッションサッカーで圧倒しよう、としてしまったことが結果に繋がってしまったのかも知れない。
とは言え、先に触れたアンギサ、また後半から入ったミトロヴィッチによってしっかりと攻撃の起点が作れるだけに、相手なりのサッカーを展開することができるチームであることは間違いない。
リバプールに圧倒されながらも勝利した前々節を考えれば、残留の可能性も見えてくるだろう。
鍵は自分達が今最も勝点奪取に必要なサッカーを追求するだけの「余裕」をこれからの試合で持てるか、つまり相手にある程度ボールを握らせるサッカーをできるか、になるだろう。
見事なカウンターパンチ2発
サッカーファンとしては自分が応援しているチームが相手DFを崩し切ってゴール、というのが最も興奮し、酒が美味い瞬間だ。
しかしながら、この試合はそういう酒の美味さを感じるゴールではなかった。
言うなれば、相手の隙を見逃さずに上手にカウンターパンチを当ててダウンをとったボクシングの試合のような感じだった。
観ている側からすれば「あれ?今何が起こった?」というぐらいの感覚を受けるゴールシーンだった。
ただ、ある意味ではそれもリーズらしい、ということが言えるだろう。
2点目のシーンは特にその最たる例で、中盤でパスを繋ぐフルハムに対してフィリップスが一気にプレッシャーを掛け、バックパスしたところをプレスバックしたバンフォードが奪ってラフィーニャに絶妙なパスを出してゴールへとつなげた。
僅か3人で5人の守備陣を切り裂く見事なカウンターだったと言える。
特にバンフォードにボールが入った瞬間に、ボールを奪う起点となったフィリップスが勢いそのままにスプリント、得点したラフィーニャも一気に加速してバンフォードの前に出たシーンは、非常に迫力のあるシーンで、このカウンターパンチこそビエルサが求める形なのではないかと思えるシーンだった。
とは言え、これまでに散々このサイトのリーズ表でも触れてきたように、この試合でも中盤でゲームを構成することができないために、たまたま決定的なカウンターパンチが当たってくれただけの勝利に過ぎない、というのが率直な感想だ。
メリエによる数々の神がかったシュートストップがなければ、フルハムの勝利であったとも言える。
たられば、を言っても仕方がないが、攻守のトランジションが激しすぎるが故に裏返されるとDFラインが止めることができず、最後の砦メリエに頼るシーンが多く見られる。
中盤にダラスがいることで非常にインテンシティの高いプレッシャーを相手にかけられるが、その分ボールを収める、相手がリトリートしている場合には無理に裏を取るようにしない、という形も取ることができる。
その意味では引き続きクリヒの復調と夏の移籍市場に向けた動きが期待されることとなる。
AZのクープマイナーズ、ウディネーゼのデ・パウルなど噂は出るものの、リーズが獲得するには少々高貴な名前が多く、実態を伴った補強の噂とは思えない。
とは言え、このフルハム戦の勝利で勝点は39となった。
過去10年間勝点40を得て降格したチームはないとのことで、残留に王手をかけたとも言える。
ここまで29試合で勝点39。
平均で考えれば残り9試合で12点を積んで、勝点51前後でシーズンを終えてしっかりと来季に向けて戦略を練ってもらいたい。
1
2
得点
ヨアヒム・アンデルセン(38′)
得点
パトリック・バンフォード(31′)
ラフィーニャ(58′)
In/Out | Pos. | Fulham | Leeds United | Pos. | In/Out | |
---|---|---|---|---|---|---|
GK | アルフォンス・アレオラ | イラン・メリエ | GK | |||
LB | アントネー・ロビンソン | エズジャン・アリオスキ | LB | |||
CB | トシン・アダラビオヨ | パスカル・ストライク | CB | |||
CB | ヨアヒム・アンデルセン | ディエゴ・ジョレンテ | CB | |||
Out(72') | RB | オラ・アイナ | ルーク・エイリング | RB | ||
Out(63') | DM | ハリソン・リード | カルヴィン・フィリップス | DM | ||
DM | マリオ・レミナ | ジャック・ハリソン | LM | |||
LAM | アデモラ・ルックマン | スチュアート・ダラス | CM | |||
CAM | アンドレ・ザンボ・アンギッサ | タイラー・ロバーツ | CM | Out(93') | ||
RAM | イバン・カバレロ | ラフィーニャ | RM | |||
Out(46') | CF | ジョッシュ・マジャ | パトリック・バンフォード | CF | Out(77') | |
Sub | Sub | |||||
GK | ファブリシオ・アゴスト | キコ・カシージャ | GK | |||
In(72') | DF | ケニー・テテ | ロビン・コッホ | DF | In(93') | |
DF | マイケル・ヘクトル | ガエタノ・ベラルディ | DF | |||
DF | デニス・オドイ | マテウシュ・クリヒ | MF | In(77') | ||
DF | ティム・リアム | ジェイミー・シャクルトン | MF | |||
DF | ジョー・ブライアン | ジャック・ジェンキンス | MF | |||
DF | テレンス・コンゴロ | エウデル・コスタ | MF | |||
In(63') | MW | ルベン・ロフタス=チーク | ジョー・ゲルハルト | FW | ||
In(46') | FW | アレクサンデル・ミトロヴィッチ | イアン・ポヴェダ | FW |